昨日、六本木の新国立美術展で開催の「二紀展」に展示してあるヤマギシの画伯・タケウチさんの作品を観に行ったのだが、暫くぶりで都心に行くのだからと、前々から観たいと思っていた、現在、上野の東京美術館で開催中の「ゴッホ展 ─ 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」の鑑賞へと脚を伸ばした。
ファン・ゴッホは、原田マハさんの小説を読んでから興味がある画家だ。
先日も、アート史上最大の謎とも言われる「ゴッホの死」を題材にした『リボルバー』を読んだし、その前に、ゴッホの壮絶な人生を描いた『やゆたえども沈まず』も興味をもって読んだ。
暫くぶりの上野。
昨年はコロナ禍のために一度も訪れていないから、東京都に住んでいながら、かれこれ2年ぶりかも知れない。
上野駅の公園口出口も、改装されてまるで変わっていた。
早速、公園に入り、東京都美術館へ。
現在はコロナ禍のために予約制の入館なのだが、朝9時半だったので当日券にも余裕があった。
音声ガイドを借りて、早速入場。
今回の展覧会は、ゴッホに魅了されて、そのゴッホの世界最大の個人収集家となったヘレーネ・クレラー=ミュラーが集めた「クレラー=ミュラー美術館」からの、ゴッホの糸杉の傑作《夜のプロヴァンスの田舎道》や《種まく人》をはじめ絵画28点と、素描・版画20点を展示作品。さらに「ファン・ゴッホ美術館」からの《黄色い家(通り)》を含む4点を展示。
まず、驚くのは、ヘレーネという収集家についてだった。
彼女のお陰で、画家としてのゴッホが歩んだ画業経緯が、分かり易く展示してある。
ヘレーネは、ゴッホが画家としてまだ評価の途上にあった1908年からおよそ20年で、鉄鉱業と海運業で財をなした夫・アントンとともに90点を超える油彩画と約180点の素描・版画を収集したという。
その中からの展示作品が、油彩画制作を始めるよりも以前の、オランダ時代における人物素描のゴッホ。その後の油彩画における技法や色彩の変化、浮世絵の影響など、ゴッホの初期から晩年までの画業が辿れるよう体系的に、とても分かり易く理解できる展示となっていた。
その展示構成は、
1.芸術に魅せられて:ヘレーネ・クレラー=ミュラー、収集家、クレラー=ミュラー美術館の創立者。
2.ヘレーネの愛した芸術家たち:写実主義からキュビスムまで。
3.ファン・ゴッホを収集する。
3-1..素描家ファン・ゴッホ、オランダ時代
3-2.画家ファン・ゴッホ、オランダ時代
3-3.画家ファン・ゴッホ、フランス時代
3-3-1..パリ
3-3-2.アルル
3-3-3.サン=レミとオーヴェール=シュル=オワーズ
4.ファン・ゴッホ美術館のファン・ゴッホ家コレクション。
となっていた。
ネットで見つけた今回展示の作品を何点か転載する。
◆ヘレーネがゴッホ作品を初めて入手したという《森のはずれ》
◆アルルで描いた《種まく人》
◆病気治療中に杉を描いた有名な《夜のプロヴァンスの田舎道》
◆ゴッホ美術館から16年ぶりに来日展示の《黄色い家(通り)》
◆そして、ルノワールの《カフェにて》も展示してあった。
この「ゴッホ展」は、12月12日(日)まで東京都美術館で開催し、その後、12月23日(木)~来年2月13日(日)まで福岡市美術館。2月23日(水)から4月10日(日)までは名古屋市美術館で巡回開催される。
ぜひ、機会があったら鑑賞することをオススメする。
帰りに、動物園を右手に見ながら駅に向かったのだが、動物園入場者は入場制限もあって長蛇の列だった。
新しく改装された上野駅舎2階の「やまぎ茶屋」で「きつねうどんと炊き込みご飯」を食べて帰途につく。