小冊子と新書についてのおしゃべり

 今日も東京は梅雨の中休み。
 陽射しも強く、梅雨明けしたような一日だった。


◇月刊 『 探理夢到 』 が届く
 これは、村岡到さんが執筆し、編集発行している小冊子だ。
          
 今月の読みどころは「日本農法に社会主義の可能性を探る」だろう。
 村岡さんは、長年にわたり「社会主義像の探求」と「その実現に向けた運動」をしてきた方だ。
 その村岡さんが、日本農法の根本理念の中に、社会主義像探求で大切な「平等の追求」や「友愛による関係性」が存在することを知って、なぜ、日本農法と社会主義は結びつかなかったのか、これからの社会像の構築の中で、両者を結びつけるためには何が必要か、を論じ提起している内容だ。
 ぜひ、多くの人に触れていただきたい内容である。

 実は、この今月号に、僕が先月ブログに書いた藤谷治著『船に乗れ!』の感想を、書評として編集してくださって、1ページ掲載されている。
 社会論評的な記事の中で、僕の読書感想文など、ちょっと恥ずかしいが村岡さんに感謝。


◇久松達央著 『 キレイゴトぬきの農業論 』 を買う
 知人から「農業について面白い本があるよ」と言われたのが、この新潮新書だ。
          
 帰宅時に書店に寄って買ったばかりなので、詳しい内容は書けないが、 
 著者は、大学卒業後に合成繊維メーカーで輸出営業を5年やって脱サラし、茨城県土浦市有機農業をしている人だ。
 「はじめに」によると、
 ─ 有機農業というのは、一般には「危険な農薬を使わない安全な農法」「環境にやさしいエコな農法」と捉えられていますが、本編で述べるように、それらは必ずしも事実ではありません。これを読んでビックリされる方も多いかもしれません。かくいう僕自身も最初は「環境や健康を破壊する危険な農薬を使わずに野菜をつくりたい!」という思いで始めましたが、実践していくうちに「有機農業のキレイゴト」に疑問を感じるようになりました。残念ながら、それをきちんと答えてくれる人や書物がなかったので、自分で考えるしかありませんでした。畑で農作業をしながら、自分の頭と手で考えて、疑問への答えを言葉にしたのが本書です。─
 このように述べている。
 そして、目次によると、
 第1章の「有機農業三つの神話」では、〝有機だから安全〟のウソ、安全と安心は違う、有機でなくても〝健康な野菜〟はできる、などがあり、
 第2章「 野菜がまずくなっている?」
 第3章「虫や雑草とどう向き合うか」
 第4章「小規模農家はゲリラ戦を戦う」では、安売りの土俵に乗らない、などなど、
 このような内容が続き、第7章まであるのだが、目次のタイトルを見ただけでも、興味がある農業論だ。
 まだ、帰宅の電車の中で4分の1程度読んだだけだが、
 有機神話としてある「有機だから安全、有機だから美味しい、有機だから環境にいい」の3点は誤ったイメージであり、事実ではないという説明は、有機農業を否定するのでなく、実際に有機農業を実践している著者だけあって、分かり易く述べられている。

 まだまだ前段を読んでいるところなので、詳しい感想は後日書くことにする。