週末の夜、会の新聞「けんさん」の編集も一段落したので、映画『小さな恋のうた』を観た。
この映画は、先日、新聞のシネマガイドで紹介されていていた。
僕は、舞台が沖縄、メガホンを取っているのが『羊と鋼の森』などの橋本光二郎監督、そして内容が、沖縄の人気ロックバンド「MONGOL800」の曲「小さな恋のうた」から着想されたドラマ、というので興味を持った。
映画の内容を、不確かなところもあり違った解釈をしているかも知れないが、思い出す範囲で書くとこんなストーリーだ。
日本とアメリカという2つの「国」が、フェンスで隔てられて存在する沖縄。
自作の歌を歌い演奏する高校生バンドが人気を集めている。
東京のプロダクションからスカウトを受け、東京でのプロデビューが決まる。
そんな喜びの絶頂で盛り上がっている時、路上で交通事故に遭い、中心的に歌を作っていたバンド仲間の1人が亡くなる。ひき逃げだった。
他のバンドメンバーは途方に暮れ解散状態になる。
ひき逃げ犯も米軍軍関係者ではと思われるが、日米地位協定に阻まれ捜査は進まない。 そんな時に、一曲のデモテープを見つけ、亡くなった仲間とフェンス越しに言葉を交わしていた米軍基地に住む1人の少女がいたことを知る。
残されたメンバー3人、1人は他のバンドに移ったが、残る2人と亡くなったメンバーの妹が、再び楽器を手に取り立ち上がり、学園祭で演奏することを目指して練習を繰り返す。
その学園祭に招待したい米軍基地内の少女は、基地門前での抗議行動や、基地外への外出禁止などで、親の反対もあり自由がきかない。
学園祭での演奏も、懇意にしているライブハウスでの練習演奏がネットに流れてしまい、学校側の誤解を招き出演ができなくなる。
しかし、他のバンドに移った元メンバーの協力もあり、当日に校舎屋上でゲリラ的演奏をして、大喝采をあびる。
それを、米軍基地内の少女に聞かせたいと、基地のフェンスの外に楽器を揃えて演奏をして、亡くなったメンバーの小さな恋の思いを、フェンス越しに聴く少女に届ける。
最初は、登場する若者たちに沖縄訛りというか、沖縄的独特なアクセントがないのが気になったが、そんなこともいつの間にか忘れて、最後は結局、目頭が熱くなってハンカチのお世話になってしまった。
さすが、橋本光二郎監督がメガホンを取った映画だ。青春ドラマでありながら、日常生活の中にいつも存在している米軍基地との軋轢や問題を浮かび上がらせている。
僕は、静かな感動の余韻に浸りながら帰途についた。