水曜日のおしゃべり

 今日の東京は、雨が降ったり、止んだり・・・のはっきりしない天気。
 すっきりと晴れ渡る秋空には、なかなかならない。


◇会の新聞「けんさん」9月号の編集完了
 今朝、印刷屋さんから最終校正ゲラが届いて、その確認をする。
         
 午前中に校正して、午後に、紙面の最終版ができ、今号の編集作業を終えた。
 来週早々に、印刷が上がり、全国の会員宅に送る予定だ。


朝日新聞の「オピニオン&フォーラム」から
 1週間前の読み残した新聞をめくっていたら、9月1日朝刊の「オピニオン&フォーラム」に経済学者であり文明論などで数々の著書がある京都大学名誉教授・佐伯啓思さんの「異論のススメ」が目にとまり、読んでみたら考えさせられることが多々あったので、ちょっと長くなるが、今夜は時間もあるので、ここに紹介する。
         
 『 現代文明の没落 貨幣で思考 衰える文化 佐伯啓思
 佐伯さんは、100年前に書かれたドイツの文明史家であるオスヴァルト・シュペングラーの『西洋の没落』を紹介しながら「文明」と「文化」の対立について論じている。
 佐伯さんは、「ヨーロッパは、合理的な科学や産業技術、自由や平等の政治制度、競争的な市場経済、金融のメカニズムなどを生み出した。いわゆる近代社会である。20世紀にはいると、それはもっぱらアメリカへ移植されて、普遍化され、世界へと拡張された。合理的科学も、産業技術も、自由や民主主義の制度も、市場経済も、金融も、今日、アメリカ主導によって世界化している。われわれはそれをグローバリズムや情報技術革命などとよんで、地球を覆いつくす現代文明だと考えている。そして、この現代文明は、多少の問題はあってもそれは解決可能であって、世界の人々を幸福へと導くとみなしている。」と述べ、
 それに対して、シュペングラーは、この現代文明の世界化こそが、われわれの生活や精神に密着した「文化」と対立し、「文明」の普遍化が、「文化」がもたらす創造的な精神の衰退になると言っていることを紹介し、
 佐伯さんは、「シュペングラーは、世界都市、数字(統計、計量されたもの)、貨幣(金融)、技術こそが現代文明を象徴しているという。それは文明であるが文化ではない。確かに今日、現代文明を象徴するこの四者は密接に結びついている。われわれは、われわれの行動のほとんどあらゆる結果を、利潤や費用対効果といった数値的成果主義と貨幣の統率のもとにおいている。学校や行政でさえも成果主義に侵食され、利益のあがらない地域の商店街は崩壊する。数字で示された経済成長を追求するために、政府は技術革新を支援し、経営は徹底した効率主義のもとにある。これは、現代人の典型的な思考形式になっているといってよいだろう。」と現代の問題点を論じ、
 さらに、この著書の中で「都市に欠けているものは、人と土地との内的な結合であり、人と財との密接な結びつきである。それに代わって、すべてが、貨幣という数値的な価値で評価され、貨幣をもってする思考へと抽象化される。その最たるものが金融市場で、それは世界中の都市をつないでゆく。だから、文明とは、伝統や人格が意味を失い、すべてを貨幣に換算しなければ意味をもたない文化段階をいうのだ。そして、デモクラシーとは、貨幣と政治権力との結合の完成である。」とシュペングラーの鋭い洞察を紹介して、これは、今日でもまったく色あせていないと論じている。