直木賞受賞作『 星落ちて、なお 』を読む

 オリンピックの各競技では、連日、熱戦が繰り広げられているが、新型コロナ感染者数も、首都圏を中心に増え続けている。
 東京の緊急事態宣言も来月末まで延長だし、埼玉県や千葉県、神奈川県も来月8月2日から発令される状況となった。
 そんな中で、8月8日から埼玉県のヤマギシの村で開催を予定していた一週間の合宿セミナー「特講」について、開催場所をどうするかを朝から検討。
 今日は一日、その対応に全国の推進メンバーに電話かけをしたり、ラインで連絡を取り合ったり・・・。
 
 そんなことで、今日は少々疲れ気味なので、昨夜、読み終わった本の感想を簡単に記してブログアップとしたい。

 

直木賞受賞作『 星落ちて、なお 』を読む
 5~6年前に読んだ『 若冲 』の澤田瞳子さんが直木賞を受賞したと知って、今回、受賞した『 星落ちて、なお 』を早速読んでみた。

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  若冲は、緻密な構図や大胆な題材、鮮麗で、奇抜な構図の作品を世に送り出した、 江戸時代中期の天才絵師・伊藤若冲の素顔にスポットを当てた物語。
 今回の『 星落ちて、なお 』は、鬼才・河鍋暁斎を父に持った娘の河鍋暁翠の、父の影に翻弄されながら、明治・大正の激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記だった。
 僕は、河鍋暁斎も、その娘の河鍋暁翠という絵師も知らなかったので、先ず、ネットで2人を検索して予備知識を得てから読み始めた。

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 主人公の女絵師・河鍋暁翠は、画鬼と呼ばれた偉大な絵師・河鍋暁斎の娘に生まれ、5歳の時から手ほどきを受ける。
 物語は暁斎が亡くなったところから始まり、同じ絵師として父親の奔放さを引き継いだ異母兄への複雑な思いや、父親に対する親子の愛情欠如を嫌悪しながらも、河鍋の血をひく者として、その画風を踏襲しなければという絵師としての矜持と、一方ではひとりの女性として、妻として、母親としての生き方をしなければと揺れ動く心が、丁寧に描かれる。
 時代は明治・大正時代。
 画壇も西洋の影響を受けて、日本画狩野派や浮世絵は古く、西洋画風が持てはやされるなどの時代の流れに翻弄されながらも、女絵師として生きる河鍋暁翠の生き様が心に迫る。


 今度、機会があったら、河鍋暁斎河鍋暁翠の絵を、じっくり観たいと思った。