12月5日のおしゃべり・通勤時間は読書タイム

◇今朝の空

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 今日は、朝の通勤電車の小田急線が、新百合ヶ丘駅で緊急停止ボタンが押されて、その影響でダイヤがメタメタ。
 長いこと電車のなかでの「読書タイム」となってしまった。

 

◇謎の絵師「写楽」の小説・吉川永青著『写楽とお喜瀬』を読む
 先日、出張前の空き時間にBOOK・OFFに寄って、恩田陸さんの『 光の帝国 常野物語 』と一緒に買ったのが、この吉川永青さんの『写楽とお喜瀬』だ。

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 ここの取り上げられている東洲斎写楽は、謎の浮世絵師である。
 江戸時代中期に、10ヵ月という短い期間に145点余の役者絵などの作品を版行したのち、忽然と画業を絶った。

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 この観る人を強烈に惹きつける浮世絵を残した写楽とは、誰であるのか、様々な研究がなされてきたが、諸説あって定かではない。


 この吉川永青さんの『写楽とお喜瀬』では、現在、有力な説となっている阿波徳島藩主蜂須賀家お抱えの能役者斎藤十郎兵衛が、東洲斎写楽として、これらの作品が生まれた経緯を描いている。

 そこには、能役者でありながら芝居にのめり込み、絵心があるので役者絵を描く羽目になり、能役者は士分のため名前を秘す必要があったし、非番の間だけの画業であり、それも、陰間(体は男で心は女)との出逢いと通じ合った真心、嫌々承知した許嫁の不幸な死など、心優しい斎藤十郎兵衛は苦悩の連続。
 その苦悩を絵に吐き出し、そこから、あの強烈な浮世絵が生みだされたという物語だ。

 写楽の作品を思い出しながら、そういう中から描かれたからかと、何となく、納得しながら読んでしまった。


 謎の浮世絵師・写楽のフィクション物語としては、面白い内容であった。