2つのミステリー文庫のおしゃべり

 このブログを読んでくれている読書好きの知人に、先日会った時「最近、本の話題がないね。」と言われたし、今日は帰宅時間も7時と、比較的早かったし、食事も風呂もすんで、ちょっと時間があるので、最近読んだ文庫本のおしゃべりをする。
三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖4〜栞子さんと二つの顔〜』
 北鎌倉の古書店を舞台にした三上延のミステリー文庫ビブリア古書堂の事件手帖はシリーズ1.2.3を読んでいたし、最近はテレビドラマ化されて月曜日夜に放映されているから、帰宅時間が間に合ったときには、そのドラマも観ている。
 実は、今日は月曜日、先ほどもそのドラマを観た。
 ドラマでは、古書店の美しい女店主・篠川栞子を剛力彩芽が演じているのだが、最初はちょっとイメージ違うなって思ったが、回を重ねる毎にその違和感もなくなって剛力ファンになりつつある。
           
 先週、シリーズ4が発売されたことを知って、週末に買って、出張の電車の中で読んだ。
 このシリーズの魅力は、謎解きの展開は勿論だが、その時その時、取り上げられる古書作品にまつわる秘話と、その作家を巡る話題が面白い。
 今回の古書は、推理小説作家・江戸川乱歩の作品を巡っての推理物語で、なかなか読み応えがあった。
 さらに、このシリーズ4では、10年前に謎の失踪をした母親が初めて登場し、その失踪した動機も少々明らかになるし、主人公の五浦大輔との恋心が醸成され、念願のデートまで達成していく過程にホッとする。

島田荘司の『写楽 閉じた国の幻』上・下
 この文庫は、主に通勤電車の中での空き時間に読んだ文庫本だ。
           
 何と言っても、江戸時代の歌舞伎や浮世絵という庶民文化の成り立ち、その文化形成に大きな役割を果たしたとされる浮世絵の版元・蔦屋重三郎のこと、版元と浮世絵師との関係など、いろいろと知ることが出来たのが収穫だ。
 謎とされる写楽についても、今までの説を美術大出身の作家らしく、他の浮世絵との描写の違いから、大胆にオランダ人と推理していく過程がワクワクさせた。
 さらに、千両役者などと言われる人気の歌舞伎役者や、その宣伝絵師になってしまった浮世絵師、その世界に対する蔦屋重三郎の反骨精神から生み出された〝写楽〟。その仮説も面白い。
 最大の収穫は、これから浮世絵を鑑賞するときには、今までとは違った視点で観ることができるだろう。
 それが嬉しい。