加藤シゲアキ著『なれのはて』を読む

 最近の芸能界の話題などには全く疎いNAOJI~SANなのだが、最近、加藤シゲアキという旧ジャニーズ事務所のアイドルグループ・NEWSのメンバーが書いた『オルタネート』が、第164回直木賞候補になったり、吉川英治文学新人賞や高校生直木賞を受賞したり、そして今回の第170回直木賞候補には『なれのはて』がノミネートされたりと、ちょっと気になっていた。
 「どんな小説を書いているのだろう?」というミーハー的興味もあって、ブックオフで目に止まった『なれのはて』を読んでみた。

    

 なかなか読み応えのある物語だった。
 タレント業をしながら、ここまで社会的、歴史的テーマも織り込みながら、作者不明画家の「1枚の絵」を巡ってのミステリー・ドラマ、いやヒューマン・ドラマと言った方がいいかもと思える重厚なストーリーだし、予想だにしない展開に脱帽的感動。
 特に僕は、物語の背景に戦中戦後の秋田の油田を取り上げ、終戦前夜の日石秋田製油所を爆撃目標とした、米軍の最後の日本空襲と言われる「秋田・土崎空襲」などが、戦争が引き起こした家族の亀裂として現代を生きる人びとに、大きく影を落としているというストーリーの重要な題材として描かれていることに感服。 
 

◇日本の油田
 この小説を読んで、日本における油田は何処にあるのだろうとネット検索してみた。


 日本の油田は、秋田県新潟県、北海道、日本海側に多くあり、現在も採掘を続けている油田や、すでに閉鎖れてしまった油田など、10カ所以上の油田があるという。


秋田県八橋油田
 秋田県秋田市の「八橋油田(やばせゆでん)」。かつて国内で最も多く石油を作っていたこの油田。石油を作る量が少なくなった今でも、採掘が続けられている。
 八橋油田がある地域では、古くから原油が出ていたことで知られ、「旭川油田」や「黒川油田」など、秋田県内にいくつかの油田がある。


新潟県阿賀沖油ガス田
 新潟県新潟市の北東の海上にあった「阿賀沖油ガス田(あがおきゆがすでん)」。ここでは原油だけではなく、天然ガスも生産。採掘された原油やガスは、東新潟火力発電所などに送られ、利用されていたとのこと。現在は原油などの資源がなくなってしまい、使われていない。


・北海道「勇払油ガス田」
 北海道苫小牧市の「勇払油ガス田(ゆうふつゆがすでん)」。原油とガスを生産。発見されたのは今から40年ほど前の1988年。比較的新しい油田。


 などなど。