今日は、気温も上がって初夏のような陽気。
朝7時からファーム町田店の開店準備に入って、8時からは日曜日に毎週入っている精肉部で1時間、肉のパッキング作業。
9時半からは、会の全国運営メンバーとZoomで研鑽会。
午後からは、時間ができたので読書。
◇柳広司著・文庫『風神雷神』(上)(下)を読む
この作品は、江戸時代初期の画家で、生年不詳・没年1640年頃、知名度の高さと後世への影響の大きさに比べ、その生涯には不明な点が多いと言われる謎の絵師「俵屋宗達」の生涯を描いた歴史小説である。
俵屋宗達の代表美術品は、国宝の『風神雷神図』(建仁寺蔵、京都国立博物館寄託)、『蓮池水禽図』(京都国立博物館蔵)をはじめ、重要文化財に指定されている『蔦の細道図屏風』(承天閣美術館蔵)、『養源院襖絵・杉戸絵』(養源院)、『西行法師行状絵詞』(出光美術館ほか分蔵)、『舞楽図屏風』(醍醐寺蔵)などなどが有名である。
僕はまだ、実物は見たことがないが、このような絵を描いた俵屋宗達という画家がどの様な人生を送り、どのような経緯のもとに作品を生みだしたのか、柳広司という作家が、それをどの様に描いたのかに興味があって読んでみた。
扇絵職人としての俵屋宗達が、刀剣の鑑定、研磨、浄拭(ぬぐい)を家業とし、書家として当時の一流文化人・本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)や、公卿であり歌人・能書家の烏丸光広(からすまるみつひろ)と出会って、互いの美意識、審美眼で切磋琢磨しながら、今に残る作品を生みだした経緯が丹念に描かれていた。
そして、なんと言っても、俵屋宗達作の上記作品の何点かが作中に出てくるのだが、その作品をネットで検索しながら、その作品を見ながら、その作品の意図するところを、著者の柳広司の解説を読むというのは、なかなか感慨深いものがある読書だった。
では、2点だけ俵屋宗達の作品をネットから転載する。
これがタイトルのなっている『風神雷神図』
俵屋宗達の死後に、3人の女性がこの屏風を前に、それぞれの思いを呟き合う本書巻末の描写が実にいい。
これは『舞楽図屏風』
実物を一度鑑賞したいと思う。
先日訪れた八王子市にある富士美術館には、「伊年 印」と記された屏風が展示してあった。
「伊年」は、俵屋宗達の名前ではあるが、宗達ではなく、工房の宗達に近い画力の持ち主が描いたものとする説が強いらしい。