前々から気になっていた内田樹さんの『 サル化する世界 』を、ステイホームの時間を使って読んだ。
新聞の書籍広告でも気になったし、書店で本書の表紙帯を見ても気になっていたが、読みかけの本もあったりして、ついつい今になってしまった。
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「今さえよければ自分さえよければ、それでいい」―サル化が急速に進む社会でどう生きるか?
・「自分らしく生きろ」という呪符
・なぜ「幼児的な老人」が増えたのか?
・トランプに象徴される、揺らぐ国際秩序
・「嫌中言説」が抑止され、「嫌韓言説」が亢進する訳
・戦後日本はいかに敗戦を否認してきたのか
・どうすれば日本の組織は活性化するのか……etc.
現代社会の劣化に歯止めをかけ、共生の道筋を探る真の処方箋がここに。
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表紙帯には、このように書かれていた。興味津々の文言である。
内容は、内田樹さんの雑誌記事やインタビュー、講演内容、ブログ記載などをまとめたものだが、実に刺激的な知的興味のあるものだった。
例えば、
日本国憲法に天皇制の存続と戦争放棄が盛り込まれた経緯。アメリカ合衆国憲法には陸軍の常備軍を持たないと定めていること。日本、ドイツ、フランス、イタリアの終戦以降の国際関係から論じた比較敗戦論。
そして、AI時代の教育論では、会話重視の英語教育批判や、なぜ外国語を学ぶのかという本義的意味。同学齢集団での相対評価の弊害と成績をつけない教育の勧めや、現在の文科省の重点的教育政策への厳しい指摘と提言。本来の教育とは何かを問う考察や、教育には市場原理を持ち込んではならないという指摘。などなど、多岐にわたる現代社会の問題に切り込み、考察して論評し、提言しているのだ。
これらの内容を、実に分かり易く、具体的例をあげながらの論述に、僕は思う存分楽しみながら知的刺激を受けた。
ぜひ、お薦めの書籍である。