高田 郁著『あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇』を読む

 田舎への旅の電車で読んだのが、この単行本『あきない世傳  金と銀(七)  碧流篇』だ。

 僕はこの『あきない世傳  金と銀』は、すでに1巻~6巻は読んでいる。この物語を読み続けているのは高田 郁さんの時代小説が好きだからだ。
 2~3日前の新聞広告で7巻目が出たことを知って、早速、購入。

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 この『あきない世傳  金と銀』シリーズは、江戸時代に「買うての幸い、売っての幸せ」をモットーに、呉服商を営む女商人の物語。
 主人公の幸。学者の子として生まれるが、兄や父の死別があり、9歳で大坂の天満の呉服商「五鈴屋」に奉公に出される。
 商家では「一生、鍋の底を磨いて過ごす」と言われる女衆だったが、番頭に才を認められ、幸自身も徐々に商いに心を惹かれ、知識を得ようとして、商人としての幸の人生が始まる。
 番頭の「商いの戦国武将になれる器」との言葉通り、幸は見込まれて「五鈴屋」の店主の妻・ご寮さんとなって、商いの世界でその才能を発揮する。


 今回の7巻では、
 「五鈴屋」の七代目店主となった幸は、亡夫との約束でもあった江戸に念願の店を出す。ものの考え方、着物に対する好みも、大坂とはまるで異なる江戸。知恵をしぼり、いままでの呉服商の常識を覆すような工夫をしながら、生まれたばかりの江戸店を育てようとする。
 その江戸店誕生から1年間の奮闘の物語展開だ。

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 今回の物語は、伊勢型紙を使って染色した「江戸小紋の誕生の物語でもある。
 以前、JR青梅線沢井駅近くの「櫛かんざし美術館」で、知人の江戸小紋の型彫職人タカイさん(三重県白子出身)の「型彫り作品展」を鑑賞したことがある。
 実演を見て、話も聞いて、その技術の高さに感動したのが蘇ってきて、そんな意味からも興味津々読ませてもらった。

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 これが、江戸小紋の伊勢型紙である。