映画『 きらめく拍手の音 』試写会

 ドキュメンタリー映画の製作・編集やプロデュースをしている知人のオオサワ君から、先日、試写会への招待ハガキが届いていたので、金曜日の夕方、渋谷の映画美学校試写室に、映画『 きらめく拍手の音 』を観に行く。
 この映画は、耳の聞こえない父母の日常を健聴者の娘が撮った韓国のドキュメンタリー映画なのだ。
          
 耳の聞こえない父母、健聴者の娘(この映画の制作者)と息子。
 平穏でさりげない日常の暮らしだが、そこには、愛情あふれる家族4人の生活がある。
 声の代わりに手と表情を駆使して交わす会話。
 子どもたちは、音のない世界に暮らす両親からその手話を学び、音のある社会から口で発音する言葉を学ぶ。
 そんな、音のない世界と音であふれる世界との狭間で、2人の姉弟は、時には周りの偏見の眼差しや、やいじめを受けながら苦悩するが、明るい、前向きな両親の愛情をいっぱいに受けとめて、自ら乗り越えて育つ。
 そんな家族の姿が、少しずつ、しっかりと心に染みる映画だった。
 私たち音がある世界に生きる者は、手のひらを叩き合わせて拍手をするが、ろうあの人たちは、手をたたく代わりに手のひらを高くあげて、ひらひらときらめかせる。
 この映画の題名でもある「きらめく拍手の(聞こえない)音」が、私たちを、もう一つの音のない世界の豊かな営みへ心を寄せる入り口となる。
              
 この映画は、[バリアフリー字幕]とパンフレットに書いてあった。
 [バリアフリー字幕]とは何だろうかと思ったら、聞こえない人や聞こえにくい人でも映像を楽しめるよう、台詞のほかに、音楽や環境音の説明、発話者の表記などの補足情報が加えられた字幕だった。