「文庫本」についてのおしゃべり

◇文庫本を2冊買う
 最近、週末の帰宅途中に、書店に立ち寄ることが多い。
 今日も立ち寄って、坂木司著『和菓子のアン』と、三浦しをん著『まほろ駅前番外地』の2冊の文庫本を買う。2冊合わせて消費税込みで1,230円也。
          
 坂木司著『和菓子のアン』は、
 読書メーター「心に残った本」ランキング(2011年)第一位! という帯が目に付いた。
 それで手にして数ページを立ち読み。
 携帯メールで使われる絵文字はないが、若者言葉と若者文体がいっぱいだ。
 「へぇ〜、まあ、読んでみよう」と思った。
 先ほど調べたら、著者の坂木司というのは覆面作家で、1996年生まれという以外は性別も未公表なのだそうだ。
 ますます、興味が湧く。
 三浦しをん著『まほろ駅前番外地』は、
 前に読んで面白かった『まほろ駅前多田便利軒』の続編として10月に刊行された文庫だ。
 舞台となっている「まほろ市は、東京都南西部最大の町で神奈川県との境に位置する」とあるように、我が町・町田市なのだ。
 それに何と言っても、僕の大好きな作家の三浦しをん
 前作を思い出して、「これは、読まなくちゃ・・」と思った。

 
◇文庫本とラーメンの値段
 文庫本を2冊買って帰宅し、食事の後にそれを眺めながらブログを書いていると、妻は「また〜、なに買ったの?」と批難なのか賛同なのか意味不明の言葉を言って文庫本のカバーを外して品定めをする。
 「電車の中で読もうと思って・・」とか言ってお茶を濁して理由は言わない。
 今回も、ほとんど第六感的な判断の衝動買いだ。
 僕は、文庫本って本当に安いといつも思っているから、ついつい衝動買いをする。
 今回のように2冊買ったとしても小遣いで十分に何とか出来る価格だ。
 僕は、ときどき夕方、高田馬場を歩いていると「小腹が空いたな、ラーメンでも食べようか」と思うときがある。(実に高田馬場はラーメン屋が多い)
 ラーメンも、だいたいが文庫本と同価格の500円代〜800円代だ。
             
 僕は、文庫本と違って、ラーメンの方はあまり衝動喰いしたことがない。
 ラーメンも大好きなのだが、メタボを考えたり、コレステロールを考えたり、何やかんやと、ちょっと立ち止まって冷静に判断する。
 しかし、文庫本となると、にわかにミーハー気分が湧いて「話題の本だ」とか「おお〜、面白そう」とか、ついつい買ってしまう。
 それにしても、ラーメン一杯と同じ値段で、こんなに楽しめる文庫本って・・と思って、あえて衝動買いを許している。
 それに、文庫本というのは、満員電車の中で立って、片手で読むには最適な大きさなのだ。
 今回の2冊の文庫本。
 妻は「坂木司は知らないけど、三浦しをんまほろ駅前は面白そうじゃない」と言っていた。


◇本読みの思い出
 僕の母は、僕が小さい頃、僕が本を読んでいるときには、決して用事を言いつけなかった。
 言ったとしても「読み終わってからでいいから・・・」と、読書の邪魔はしなかったように思う。
 遊びっぱなし、やりっぱなしで、後片付けをしないと、あんなに口うるさい母が、読書だけは邪魔しなかった。
             
 あれは何でだろう、と今になって思うことがある。
 母はきっと、母が育った時代に、思う存分に本など読めなかったからではないか。
 たまに読むことが出来る書物と時間は、母にとって貴重なものであり、大切な世界だったのではないか。
 そんな気持ちを持っていた母は、僕の読書の世界を犯したくなかったのではないか。
 最近、そんなことを思う。
 そして、ありがたいとも思う。