8月15日のおしゃべり

◇今日は68回目の終戦の日」。
 毎年の事ではあるが、靖国神社の閣僚の参拝がニュースになっている。
        

 先日、書店で立ち読みした新書に、佐藤卓己著『八月十五日の神話』という本があった。
 それによると、終戦の〝世界標準〟からすれば、玉音放送のあった8月15日は終戦ではなく、ポツダム宣言を受諾した8月14日か、降伏文書に調印した9月2日が終戦の日になるらしい。なぜ、8月15日が「終戦の日」になったかを論じている新書だった。
 ちょっとは興味あったが、あえて購入してまで読む気持ちは湧かなかった。


◇僕は最近、百田尚樹『永遠の0』浅田次郎『終わらざる夏』の文庫本を続けて読んだ。
          
 両書とも、過去にあった太平洋戦争について、考えさせられることが多かった。
 「御国のため」「天皇陛下万歳」と死んでいったと言われる若者たちが、実は、人それぞれが、母を思い、妻を思い、子供を思い、愛する家族を思って、死を受け入れていた心情に心打たれた。
 僕が40代になったばかりの頃、『戦争を知らない子供たち』という歌が流行った。
 戦後に生まれた団塊世代の僕は、社会科の歴史の授業で、太平洋戦争の経過や終戦について、先生が多くを語ってくれなかった記憶がある。
      戦争が終わって 僕等は生れた
      戦争を知らずに 僕等は育った
      おとなになって 歩き始める
      平和の歌を くちずさみながら
 こんな僕にとっては、史実にフィクションが加わった小説だとしても、刺激的で、歴史認識ができた著書だった。


◇昨夜、NHKスペシャ『従軍作家たちの戦争』で、戦時中、「麦と兵隊」で国民的作家になった火野葦平のことを放映していた。
 ペン部隊として、報道部員の仕事として、プロパガンダ的な執筆をした火野葦平は、戦後になって静かに自殺している。
 これも、なかなか考えさせられる番組だった。