映画『この世界の片隅に』を観る

 いま、観たいと思っている映画が3本ある。
 アニメ映画この世界の片隅にと、沖縄を舞台にした『島々清しゃ(しまじまかいしゃ)』。もう一つは、先週末に公開になった遠藤周作の小説が原作の『沈黙 −サイレンス− 』だ。

 土曜日、日曜日とファーム町田店のスタッフに入ったりして、なかなか時間が取れなかったが、会の新聞「けんさん」2月号の編集も校正が終わって一段落したので、帰宅時に新宿駅で途中下車して新宿ピカデリーに寄った。


こうの史代原作、片渕須直監督のアニメ映画『この世界の片隅に
 この映画は、劇場公開が昨年の11月上旬からで話題の作品だ。
 先日も、広島出身の友人のブログに
 「私のふるさと呉市が舞台で、太平洋戦争の中を一生懸命に生きた普通の人たちの物語です。」「呉出身者としては、戦時下の呉がものすごくリアルに描かれていて、タイムスリップしたんじゃないか?という錯覚に陥ったくらいでした。」「あまりに入り込みすぎて、恥ずかしいことに最初から最後まで号泣しながら見ていました。」
 そんな感想が書かれていたので、先ずは、これを観ようと思ったのだ。
      
 広島で育ったノンビリ屋で絵を描くことが好きな女性・すず(声・のん)が、軍港のある呉の一家に嫁いで奮闘する戦時中のドラマなのだが、当時の広島の人々の生活や、激化する戦争、そして終戦へと向かう様子が、日常の暮らしを通して丁寧に描かれている。
         
 ちょっとだけ、印象に残っている部分を紹介する。
 戦況の悪化で配給物資が次第に不足していく中での生活。
 小姑の小言に耐えつつ、不器用ながらも懸命に嫁ぎ先で生活するすず。
 呉にも空襲は日ごと激化し、そして爆弾の爆発で、すずは右手をつないでいた姪の命と、絵を描くことが出来た自らの右手を失う。
 広島市への原子爆弾投下は、呉にも閃光と衝撃波が響き、広島市方向の空には巨大なキノコ雲。
 終戦の翌年、祖母の家に身を寄せていた妹・すみと再会。
 両親は原爆で亡くなり、すみ自身も原爆症の症状が出ていた。
 廃墟となった市内で、すずは「この世界の片隅で」自分を見つけてくれた夫に感謝しながら、母親を亡くした少女を連れて呉に戻る。
         
 このアニメ映画『この世界の片隅に
 観終わって、心の隅々をジワッとした感動が浸していることに気付く。
 まだ観ていなかったら、ぜひ、お勧めしたい映画である。