本のおしゃべり

浅田次郎著・文庫『黒書院の六兵衛』(上)(下)を読む
 この本は、今年初めのモンゴル出張の時に、機内で読もうと思って買った新刊文庫だ。
 浅田次郎の本も、しばらく読んでいなかったので、この文庫を選んだのだが、途中で、別の読みたい本が現れ読んだりして、やっと読み終わった。
       
 無血開城となる江戸城に、尾張徳川家徒組頭が官軍の先遣隊長として送り込まれる。
 そこには、一人の旗本・御書院番士が居座っていた。
 無血開城を決めた西郷隆盛勝海舟は、腕ずく力ずくで引きずり出してはならぬという。
 黙して居座り続ける御書院番士は、いったい誰なのか。何が目的なのか。
 本書の上・下を通して、その推察のための物語だった。
 浅田次郎は、武士の世の江戸から、明治へと変わる時代の中での、武士としての矜持を書きたかったのだろうとは思うが、その御書院番士に対する詮索の、それぞれ登場人物の語りの内容は、ちょっと繰り返しが多く、僕は読んでいて間延びしている感じを受けた。
 この物語、勝海舟西郷隆盛大村益次郎など、そうそうたる歴史上の人物が登場するが、物語の中心人物の尾張徳川家徒組頭・加倉井隼人と、御書院番士・的矢六兵衛はフィクションで、実際の江戸城開城に当たって、この物語のような事件はなかったと思ってしまうから、物語の展開にのめり込めず、いつ劇的なからくりの展開が来るのかとおもいつつ終わってしまったということが、不完全燃焼的な読後感想になった原因かも知れない。


◇本のプレゼント
 先日、フリーライターのTさんと食事をしているときに読書の話になった。
 彼は、警察小説や企業小説などをよく読んでいるのを知っていたので、「最近、面白い小説があった?」と聞いたら、「今度、僕が読んで面白かったのを持ってくるよ。」と言っていた。
 今日の昼頃、突然、Tさんが案内所を訪れて、鞄の中から取りだした本がこれだ。
       
 ちょっと多いのでビックリ。
 「こんなに読めないよ。」
 「まあ、返さなくていいから…、読み終わったらブックオフにでも持って行ってよ。」
 それにしても、どれから読もうかと迷う。