ルトガー・ブレグマン著『 Humankind 希望の歴史 』(上) を読む

 三重県ヤマギシの村のTさんから「本来人間とは?と考えるこの本、面白かったです。」と紹介されたのが、『Humankind 希望の歴史・上・人類が善き未来をつくるための18章』という書籍。
 早速、メルカリで入手して読んでみた。

    

 筆者は、オランダの1988年生まれという若い歴史家でありジャーナリスト。
 『サピエンス全史』の著者のユヴァル・ノア・ハラリは「わたしの人間観を、一新してくれた本」と、さらに『人新世の「資本論」』の斉藤幸平は「希望に満ちた性善説の決定版」と紹介していたし、Tさんからは星野源もラジオで紹介していたと書かれていたので、興味津々読んでみた。

 読み始めて、時間を見つけて、TVも観ないで、僕にとっては一気読みの感じ。
 確かに、物事を考える上で参考になる本だった。「人間の本質は善なのか悪なのか」を問い、現在の社会では性悪説で物事が設計されいるが、──本来、人間の本質は「善」である──という考察の内容。
 そのために本書では、これまで人の醜さを暴いたいくつかの事件や、心理学者の心理実験が紹介され、その事実や結果がジャーナリズムや学者が都合がよいように歪めていることを、分かり易く解明している。
 いかに、僕たちは浅はかに情報を鵜呑みにして、それを本当だと信じ、しかもそれを常識と決めつけていることが危ういか、学問として定説と言われていることを信じて疑わない危うさに、改めて驚く内容なのだ。

 もう一つ僕が、ここに記しておくとしたら、ネアンデルタール人が絶滅した理由」と「ホモ・サピエンスが生き残ったのはなぜか」が考察されていることに興味を持った。
 その原因は「他者との一体感と交流をなによりも欲して、体が食物を渇望するように、心の繋がりを渇望する結果」だと著者は言う。
 コロナ禍の今、体感的に納得できる事ではないか。

 

 ぜひ、『Humankind 希望の歴史』(下)を早く入手して、読んでみようと思う。