先月からZoomを使っての読書会を試みている。
前回は、7月10日の土曜日の夜にやった。そして、ちょうど1ヵ月が経った今日の夜、第2回目の読書会。
前回は、九州、滋賀、金沢、東京、そして三重県のヤマギシの村からも参加して9名の参加。
今回もまた、前回のメンバーに、神奈川や埼玉や栃木など、この読書会を知った人から参加希望もあって12名の参加で、今回は女性が2名参加。
全国の興味ありそうな人に声を掛けることができるのは、オンラインのZoomならではだ。
取り上げている書籍は、今話題の「新書大賞2021」第1位となっている斉藤幸平著『人新世の「資本論」』(集英社新書)だ。
本書は、
---人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす!---と書籍紹介されている。
本書については、いろいろな場で、いろいろな人が論評されているのだが、内容的には実に興味あるものだ。
はたして、この斉藤幸平さんの考察と提言は、どんなものなのか。斉藤さんが提言している「脱成長コミュニズムが世界を救う」とは、具体的にどんな道筋なのか。僕たちの現在の生活に何を問うているのか。この「脱成長コミュニズム」とはどんなイメージの社会なのか。より幸せな社会への改革の生き方として受け止めるとしたら、もっと本書の論を深めたいと思っての読書会である。
読書会に出された感想や意見交換の内容を、細かく記すことはできないが、今回も、この本を読んだことがキッカケで、それぞれが自分の日頃の生活にひきつけて考えたことが聞けて刺激的なものだった。
1冊の書籍を読んで、1人ではここまでの深められないと思うし、何人かで読後感想を交換することで、それを自分がどう受け止めたかを共有できる楽しさがあるオンライン「読書会」となっている。
今も外は、秋雨前線の日本列島停滞による雨脚の強い音が響いているし、ニュースは、九州や広島など西日本をはじめ各地の「過去に経験したことのないような豪雨」の警戒と、その被害を報じている。確かに本書が指摘しているような気候変動を実感させる事態が起こっている。これは、人間と自然の物質代謝の「亀裂」が原因なのか?
本書の最後で斎藤浩平さんは読者に呼びかけている。
「ハーヴァード大学の政治学者エリカ・チェノウェスらの研究によると、3.5%の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が大きく変わるという」と紹介し、「すぐにやれること・やらなくてはならないことはいくらでもある。だからシステムの変革という課題が大きいことを、なにもしないことの言い訳にしてはいけない。一人ひとりの参加が3.5%にとっては決定的に重要なのだから。」と・・・。
さて、自分のどんな思考が、どんな行動が、その3.5%に組み入れられるのか、そこが問われているが、案外それは、「ひとと共に」の生き方をしようとしている私たちの足下にあるような気もする。