最近観た映画『 野性の呼び声 』は、アメリカの作家ジャック・ロンドンの小説が原作で、犬を擬人化して描かれている、「犬」そのもの物語である。
その犬の名は、セントバーナードとシェパードの雑種犬・バック。
カリフォルニア州の判事の邸宅でペットとして幸せに暮らしていたバックは、庭師にさらわれ、ゴールドラッシュに沸くカナダへ、そり犬として売り飛ばされてしまうところから物語は始まる。
そこでの過酷な条件のなか、恵まれた体格と持ち前の知恵を駆使して、大雪原を駆け抜け、そり犬として素晴らしいリーダーシップを発揮しながら、次第に原始以来の野生のオオカミ的血に目覚めて、それを自覚しながら、最後は人間世界から離れて野生のオオカミの群れのリーダーとなる物語なのだ。
僕は、この映画が公開されると聞き、早速、原作であるジャック・ロンドン作、海保眞夫訳の岩波文庫『荒野の呼び声』を読んだ。
原作を読んでいたので、擬人化して描かれている「犬」の気持ちや行動が、素直に理解できた点では、観る前に読んでいて良かったと思った。
ではなぜ、この映画を観たかというと、このバックを始めとした犬たち全てが、CGのモーションキャプチャ技術(カメラやセンサーを使い人間や動物の動きを取得してデジタルデータ化し、そのデータを3DCGキャラクターに反映することで、ロボットっぽさの無いリアルな動きを表現できる技術)を駆使して映画化されたもので、その技術者として、我が家・多摩実顕地で育ったヨウヘイ君がかかわった作品だからだ。
そのCG技術に、つくづく凄いと感動。
何の違和感もなく、人間と犬が演じているのに驚く。
目の動きも含めた表情など微細な演技をする犬も、カナダの自然を描いたきれいな背景画も、CG技術を駆使しての作なのかと、それを鑑賞するだけでも十分価値があると思える映画だった。
ちなみに、ヨウヘイ君という青年は、ヤマギシズム学園中等部を出て、その後、町田市立の夜間高校に通い、その真面目さと素直さがかわれて、バスケット部の主将をやったり、卒業後は東京デザイン専門学校に通ってアート的才能を培い、学校では中国訪問団の一員として学校代表で送り出されたり、さらに卒業作品は優秀賞を受賞している。
その後、彼はその道に進み、アメリカに語学留学したりしてスキルアップし、映像製作会社で技術を磨き、昨年、カナダの映画製作会社に就職して、この映画にかかわったのだ。