8月15日のおしゃべり

『日本のいちばん長い日』 小説と映画 
 今年は戦後70年。第二次世界大戦(太平洋戦争)は1945年に終わった。
 ポツダム宣言を受け入れ、その後の日本の姿を決めた8月15日。
 この日を境に、日本は平和国家建設への道を歩み始め、現代日本史のスタートとなった。
 70年経った今「その真実はどうだったのか」を問う書籍や映像企画が今年は多い。
 そんな流れに誘われて、僕も改めて半藤一利著『日本のいちばん長い日・決定版』を読み、それを原作とした原田真人監督の映画『日本のいちばん長い日』を観た。
 ポツダム宣言を受け入れて無条件降伏か、天皇の存続と国体を護持する条件付き降伏か、はたまた、本土決戦で玉砕覚悟でいけばまだ勝機があるという戦争続行か、国の中枢が揺れ、天皇玉音放送に至までの内容だ。
       
 原作となった『日本のいちばん長い日・決定版』では、14日正午から15日正午の玉音放送までを、1時間刻みに、その時々に何があったのかを、資料と証言を元に克明に著している。
       
 映画は2時間16分の編集。
 役所広司が演じる阿南惟幾陸軍大臣山崎努が演じる鈴木貫太郎首相、そして本木雅弘が演じる昭和天皇などが、それぞれの立場で、これからの日本をどう考えていたのか、その苦悩と葛藤に焦点を当てた映画になっていた。
 映画を観ながら、原作を読んでいてよかったと思った。
 映像というリアルさ、それぞれの人物が迫力ある演技で心迫るものがあるが、登場人物の多さや、その人物の位置づけ、その一人ひとりの苦悩を十分に察し得るには、原作の予備知識があってこそだと思った。
 阿南惟幾陸軍大臣を演じた役所広司が、何かのインタビューで言っていた「戦争を終わらせることの難しさを伝えたかった」という言葉を、つくづく感じさせる映画だった。
 それにしても、その人物になりきって演じきる俳優(役者)とは凄いなあと思う。
 役所広司山崎努本木雅弘の3人の演技がことさら輝く映画だった。