今日の東京は、曇り、夕方から雨模様。
一年に一度だけ、牽牛と織姫のふたりが、天の川を渡って会うことを許された日なのに、あいにく雨模様で、今年も会えなかったのだろうか。
いつも思うのだが、どうして梅雨時に七夕祭があるのだろう。
◇それぞれが、それぞれの願いを託す「七夕飾り」
大型スーパー入口に飾ってあった笹の葉飾り。ついついシャッターを切る。
◇笹本稜平著『未踏峰』
笹本遼平の山岳小説は、映画にもなった山小屋の人々を描いた『春を背負って』と、ヒマラヤを舞台にした『還るべき場所』を読んでいる。
「まあ、笹本遼平の山岳小説なら外れはないだろう」と、駅ナカの古本市で買った文庫『未踏峰』。
読み終わって、やっぱり外れではなかった。
さすが笹本稜平の小説。読んでいる自分が、知らず知らずのうちに雪山を登っているような気分になってしまう。
ハンディを背負った3人。
コンピューターのシステムエンジニアだったが、過労に耐えるために薬物依存となり、万引をして捕まり、生きる目的を失った若者。
知的障害者の若者。
アスペルガー症候群という心の障害をもつ若い女性。
この訳ありの、どこに勤めてもうまくいかない3人が、北八ヶ岳の山小屋の主人と出会って、生きる意欲と、自分の存在と、夢を抱き、それに向かうことで生きる意味を見出す物語なのだ。
生きている、そのこと自体が素晴らしいこと。それをじっくりと感じさせてくれる小説だ。