入間市に出かける

 案内所で毎月定例で開催している「若者食事会」の食事づくりをしてくれている埼玉県のノリエさんから、入間市市民会館で開催する講演会に誘われていた。
 案内所からは、西武新宿線に乗って所沢で西武池袋線に乗り換えれば、1時間もかからないし、講演者にも興味があったので、土曜日昼から入間市に出かける。


◇話してくれたのは、編集者の松本昌次さんと新聞記者の田原牧さん
 松本昌次さんは、自分を「末期高齢者」と自称する88歳の編集者。
 著名な編集者と紹介されていたが、僕はあまり知らなくて、最近、村上春樹でネット検索したときに「松本昌次のいま、言わねばならないこと」と題したページを見つけて、村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の文藝春秋からの刊行経緯を批判している記事を読んだことがあるくらいだ。
 話は、第2次世界大戦で多くの民間人を含めて6035万人の死亡者がいたことの事実。21世紀という世紀には戦争で1億人が犠牲になったことの事実。そのような事実認識の必要性を話し、最近起こったフランスのシャルリー・エブド風刺画に対する襲撃事件の背景やマスコミでは報じられていない問題点などを語り、「あれは風刺画なんだろうか、他民族に対する軽蔑画ではないか」と問題提起していた。
          
 もう一人の田原牧さんは、東京新聞の記者。
 僕は読んでないが、昨年、『ジャスミンの残り香「アラブの春」が変えたもの』という本で開高健ノンフィクション賞を受賞しているというのは、何かの記事で読んで記憶していた。
 登場してきた田原さんをみて「この人が東京新聞の記者なんだ」とビックリ。
 彼女(彼?)は、性同一性障害と診断を受けたトランスジェンダーだった。

 話しは、日本とフランスの右派傾向の近似性や、現代社会が「議論の不在、対話の成立しない社会」になってしまったことが、いじめや孤独死、自殺など、この社会が病んでいる根本原因だと言い、道理の通じる「人が壊れない社会回帰」の必要性を語っていた。
 普段、新聞などでは知ることが難しい社会問題の背景や、現在起きているイスラム国の日本人誘拐事件の背景など、分かりやすく聞くことが出来て有意義だった。



入間市愛宕神社
 30分ほど早く入間市駅について、「ここに来るのは初めてだなあ〜」と思って歩いていたら、ちょっと大きな神社があった。
 「愛宕神社」だった。
     
 入口の鳥居の横には、芭蕉の句が刻まれた石碑がある。
     
            
 鳥居をくぐって階段を上ると案内板があって、新田義貞の子で、新田義興の霊を祀った神社であると書かれていた。
     
 なんと、新田義興多摩川下流の矢口の渡しで、足利幕府の者に従者13人と共に謀殺され、その首塚があった。
     
 境内を掃除していたおじさんが、この神社が、いかに由緒ある神社であるか、しかし、最近は参拝者が少なくなっていることを、丁寧に説明してくれた。