講談社文庫『 神在月のこども 』を読む

 一週間ほど前、伊勢崎市の知人から「次男の新作のお知らせ。アニメ映画『 神在月のこども 』の原作を書き下ろし小説化した本が発売されました。」と、メールをもらった。


 知人の次男・芹沢政信(ペンネーム)は、第9回MF文庫Jライトノベル新人賞の優秀賞を受賞していて、今年の1月にも、講談社タイガ講談社BOOK倶楽部)から、『 吾輩は歌って踊れる猫である 』という本を出した。
 それを読んでいて、なかなか面白かったので、早速、今回の講談社文庫神在月のこども 』も読んでみた。
 今回は、10月公開の同名アニメ映画のノベライズ本で、芹沢政信さんと四戸俊成さんの共著だ。

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 物語は、全国の八百万(やおよろず)の神々が、出雲の国に集まる旧暦10月を舞台にしたもの。
 この旧暦10月を、出雲以外の土地では神様が留守になるので「神無月」といい、出雲では神在月と呼ぶ。
 公開間近なアニメ映画のノベライズ本なので、詳しく書くとネタバレになって迷惑をかけるので、本の紹介に記されている内容と、ちょっとだけ記すことにする。

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「自然も人も神様も、きっと昔は繋がっていたんだ。母を亡くした少女・カンナのもとに訪れた、神の使いを名乗るうさぎ。曰く母は韋駄天という神様だったそうだ。日本全国の“馳走”を集めて届けるという使命を受けて、カンナは走って出雲を目指すことに。追いすがる鬼の子孫・夜叉とともに、森、街、山、海と神々の美しい座所をめぐる。縁が日本を一つにつなぐ、原風景の物語。」

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 つまり、出雲に集まる神々様の「縁結びの会議」「神議り(かみはかり)」のために、集まった神々の食事(馳走)のために、秋の実りを各地から集めて出雲に届ける旅の物語なのだ。
 神の使いの白ウサギと、祖先が韋駄天の神の座を奪われた鬼の夜叉と、韋駄天だった母の使命を引き継いでの旅であり、主人公・カンナにとっては亡くなった母に会えるのではないかという願望達成の旅。
 小さきニンゲンのカンナは、 東京の愛宕神社を皮切りに、埼玉の鴻(こう)神社や、群馬の榛名神社、長野の諏訪大社などを経由し、数々の驚きと困難に遭遇しながら馳走を集め出雲に向かうのだが、それは、カンナの成長の旅でもあるというストーリー。
 読み進めていく中で、いろいろな神社や神々の由緒に触れながらの物語の展開に、知らず知らずに引き込まれる。


 公開映画を観る前に、このノベライズ本『 神在月のこども 』を読むのをお薦めだ。