「文楽」についてのおしゃべり

文楽協会に対しての大阪市助成金
 今日のニュースで気になったのは大阪市の「文楽に対する助成金」の問題だ。
              
 昨年も、大阪市のこの「文楽」の助成金に対して見直しがあって、ニュースによると、
 「文楽協会への助成は長年、年間5200万円だったのを、改革により上限3900万円に見直した。この一部を国立文楽劇場大阪市)の入場者数に連動して支給額を決めるよう改めた。13年度は、市から約2700万円が支給された。」
 このように、約半額になっている。
 今日のニュースは、
 「大阪市橋下徹市長が問題視していた文楽協会への運営補助金について、市が来年度から全廃する方針を、今月初めに協会に通知していたことが分かった。来年度からは他の文化団体と同じように、公演など事業ごとに助成の申請をする方式に改める。」
 このような内容だ。

 
三浦しをん著『仏果を得ず』
 文楽の世界を題材に書いた三浦しをんの『仏果を得ず』という小説がある。
          
 実は、僕はこの『仏果を得ず』を読むまでは、文楽についての知識もなければ、観劇した事もなかった。
 この三浦しをん著『仏果を得ず』は、
 若い義太夫文楽の修行を通して、芸事に悩み、恋に悩みながらも成長していく姿を描く青春小説なのだが、8話からなる連作短編的各章は、文楽の名作を取り上げ、文楽作品の登場人物の行動と、主人公の実生活や心境と微妙に重なり合って、文楽作品などほとんど無知な僕でも、文楽作品の中味が分かる仕掛になっている。
 そして、
 それら人物達の人間模様から、古典芸能としての文楽の世界が理解でき、その世界に引き込まれる小説なのだ。
 そんなことがあって、僕は一度、文楽を実際に観に行きたくなってしまった。
 その後、僕は東京の国立劇場での公演を持って「文楽」を初めて観劇した。
 その時のブログに僕はこのように書いた。
 「文楽の演技は浄瑠璃語り、三味線弾き、人形遣い三者で成り立っているのだが、さすが日本が誇る古典芸能だ。浄瑠璃語りと三味線弾きの迫力がすごい。人形遣いもまた、一体の人形を、主遣いと黒子2人の3人掛かりで操るのだが、細かい動きが、まるで人間が演じているような情の世界を感じさせる。
 汗だくになって全身で浄瑠璃語りをする姿、張り詰めた表情を崩さずにバチに力を込める三味線弾きの姿、人形になりきって足を鳴らしながら動く人形遣いの姿。僕は、本当に感動した。」
 そして、その時も大阪市文楽協会への助成金が話題になっていたので、
 「このような古典芸能の継承は大切にするべきだと思う。継承者には、生活の不安など取り除ける援助をして、芸の道を極めて欲しい。いっそ、国家公務員くらいの位置づけにしたらいいくらいだ。」
 さらに「古典芸能を継承するこんな若者を見守れないほど、僕たち日本国民の民度は低くないはずだ。」と書いた。
             

 今日、ニュースを読んで、このことを思い出して、あらためて三浦しをんの『仏果を得ず』を本棚から取り出して、またページをめくっている。