原田マハ著『本日は、お日柄もよく』読後おしゃべり

 先週読んだのだが、ゆっくりブログに書く時間が取れず、後回しになっていた文庫本のおしゃべり。

 言葉の魔術師、スピーチライターの話だというので、興味を持って読んだのが、原田マハ『本日は、お日柄もよく』というタイトルの文庫本。
 原田マハの書いたものは、以前に『楽園のカンヴァス』と『生きるぼくら』の2冊だけだった。その本も感動作だったのだが、これが3冊目の本だ。
          
 この変わった装幀とタイトルの『本日は、お日柄もよく』も、なかなか感動させてくれた。
 若いOLが、幼なじみの結婚式で、眠気を誘う祝辞の最中に、不覚にもスープ皿に顔を突っ込んでしまうところから物語は始まり、その後に、感動のスピーチをした言葉のプロフェッショナル・スピーチライターに出会い、その人を師として、その道の修行をしながら成長していく物語だ。
 物語の展開も面白いし、あまり表に出ないスピーチライターという仕事に興味が湧く。
 以前、何かでアメリカ大統領・オバマの大統領就任演説に関わったスピーチライターのことを読んだことがあって、その職業は知っていたが、あらためてスピーチライターの役割の大きさに感心した。
 それと同時に、言葉の大切さ、言葉の力について、納得し、「そうだよなあ〜」と感心しながら、勉強にもなった。
 僕も機関紙の編集をしているので、タイトル(見出し)を付けたり、本文を読んでもらいたいと願いながらリード文を作ったり、簡潔な写真キャプションを考えたりしている。
 そんな視点からも、教えられることも多々あったし、言葉の役割や効果を再認識した。
           
 物語の中に、いろいろな〝感動の言葉〟が引用され出てくるのだが、その一つを、ここに抜粋するとしたら、僕はこれを紹介したい。

─『困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。3時間後の君、涙がとまっている。24時間後の君、涙は乾いている。2日後の君、顔を上げている。3日後の君、歩きだしている。人間って、そういうふうにできているんだ。
 両親を交通事故で失った少女に、その言葉が響き、勇気付けられ、少女は大人になって、言葉のプロフェッショナル・スピーチライターになるのだ。