原田マハ著『キネマの神様』

 前回読んだ『楽園のカンヴァス 』『生きるぼくら 』が、あまりにも感動作だったので、カバンの中に入れておいて通勤時間の合間に読める、手軽な文庫本で原田マハの本はないかと思って、先日、購入したのが、この『キネマの神様』だ。
         

 「BOOK」データベースから引用すれば、
 ──39歳独身の歩は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。ある日、父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、ひょんなことから父の映画ブログをスタートさせることに。“映画の神様”が壊れかけた家族を救う、奇跡の物語。──

 このような映画とその評論を扱った内容なのだが、ブログを使ってのネットのつながりがもたらす可能性、その奇跡にワクワクしながら、僕は今回も、原田マハの魔術にはまってしまった。
           
 それにしても原田マハという作家は、
 『楽園のカンヴァス 』では美術業界というか、絵画を取り巻く業界を舞台に謎解きをして、
 『生きるぼくら 』では、農業というか、稲作を舞台にしながら現代社会の抱えている問題の提起を試み、
 『キネマの神様』では、洋画、邦画の話題が豊富に出てくる。
 持ち前の豊富な知識なのか、取材力の卓越なのか、僕は驚いてしまう。
 それも、物語の展開にハラハラドキドキさせながら、結果的には心温まる人間模様を描き、後半には目頭まで熱くさせられる。



◇今日のPhoto1枚
      高田馬場駅前の「秋の夕暮れ」(PM5:20)