介護士版「雨ニモマケズ」のこころ

 このブログに認知症のことを書いたら、福祉新聞に載っている介護福祉士の人が書いた介護士版「雨ニモマケズが、今ちょっと話題になっていると、知人がメールで教えてくれて、その「雨ニモマケズ」を送ってくれた。
 この介護士版「雨ニモマケズ」。なかなかのものだ。
 僕は読んでみて、介護関係の仕事をしている妻から聞く日頃のグチが、上手く表現されているし、介護という仕事が抱える問題、その問題の中で葛藤しながら「お世話する」ことを続ける介護士の心の内が伝わってきた。
 そんなことで、この介護士版「雨ニモマケズを、多くの人に読んでもらいたいし、介護関係の仕事をしている知人友人へ捧げる気持ちもあって、あえて、ここに(無断)転載させていただくことにお許しを・・・。
                   

    雨にも負けず
    風邪にも腰痛にも負けず
    夜勤の昼夜逆転にも負けず
    雪にも夏の暑い日の送迎にも負けず
    介護拒否にも負けず
    難しい人間関係にも負けず
    丈夫な心と体を持ち
    もう少し給料が高かったり、休みがあったりしたらいいなと夢を見て
    決して怒らず
    いつも静かに笑っている
    一日一食から五食、不規則に食事し
    決して体にいいとは言えない生活を送り
    毎日が同じ流れの中での利用者の変化を見逃さず、
    よく見、よく聴き、共有し、プランにつなげ、協力し、実行し
    東に立ち上がるおばあさんがいれば、行って付き添い
    西に退屈な顔のおじいさんがいれば、レクリエーションで笑顔にし
    南に看取りのおばあさんがいれば、頑張りました、大丈夫と手を握り
    北にナースコール頻回のおじいさんがいれば、アセスメントをとり
    猛暑の時には
    冷房をこまめに調節し
    冬の乾燥には
    加湿器に水を入れて歩き回り
    災害があれば
    駆け付け命をつなぎ
    専門性がなく、誰でもできる仕事と呼ばれ
    試験のハードルは高く
    離職率、体調不良率も高く
    この状況に対する国の姿勢は微妙
    ・・・でも働いていく
    そんな介護士に私はなりたい
                  

 これを読んで僕はさらに、
 「みんな、こうしてやっているんだよなあ〜」と、
 介護という側面だけでなく、すべての社会の営みが、こんな人達一人一人の「こころ」で、こんな「こころ」があるから、社会は支えられ、創られていることを感じてしまった。