今日の東京は夏を思わせる一日。
朝から日差しが強く、歩いていると汗ばむ気温。
月末の週末ということもあって、今日は高田馬場の案内所に行く。
11時から、毎週金曜日に定例で開催している研鑽会メンバーと、Zoom研鑽会。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除された今。6月の来週からの研鑽会をZoom研鑽会でなく、案内所に集まってやろうという意見もあったが、感染拡大の第2波が心配されているので、暫くはZoom研鑽会でやろうとなる。
確かに、電車も人が多くなったし、街の中も人が先週とは違って多くなってきている。
僕は、ラッシュ時間帯を避けて、町田駅を9時半ごろに乗車するが、先週までは全員が座れるほどの人だったが、今日は立っている人もかなりいる乗車状況。
東京の感染者確認も、今日は22人と増えている。
これから、新型コロナウイルス感染は、果たして終息するのか、はたまた第2波として増えるのか、心配だ。
◇文庫本・朝井まかて著『 銀の猫 』を読み終わる
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初夏の朝のことで、辺りはもう明るい。
雀が盛んに鳴く空の下を、飛脚が威勢よく走り抜ける。日本橋通りに並ぶ店の小僧らはまだ半分起きていないのだろう、あくび混じりに水打ちをしている。
お咲はうっかりと裾を濡らされないように時折、店前を避けながら、豊島町の鳩屋に向かった。小豆色に白丸、中に鳩の字を染め抜いた暖簾を潜る。
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こんな出だして始まる朝井まかてさんの時代小説の世界。
こんな情景描写が、僕は好きで朝井まかで作品のフアンなのだ。
今回は、江戸時代を舞台にした老人介護をテーマにした物語だ。
江戸時代の老人介護。そんなテーマを扱う時代小説は朝井まかでさんが初めてではないかと思う。
主人公のお咲。
彼女は「介抱人」。今でいうホームヘルパーだ。
彼女が暖簾を潜った口入屋の「鳩屋」。
口入屋とは、仕事を斡旋する稼業で、用心棒から女中奉公、妾奉公、参勤交代の臨時の中間にいたるまで、あらゆる仕事への橋渡しをする、今でいう派遣会社だ。
その口入屋には、「介抱人」という老人介護専門の仕事人がいたという設定。
普通の女中奉公と違って稼ぎは大工の手間賃並み。
しかし、三日三晩の介護で一日休みという、現代のホームヘルパーよりも過重労働だ。
その仕事をしている主人公のお咲が、夜勤明けから帰ってきた情景描写が、上の文章だ。
本書は8編からなる連作短編なのだが、それぞれに一癖も二癖もある老人たちが、介護される側の人として登場する。
著者は「介護とは何か」を問いながら、介護依頼先の老人家族の事情や、介護老人の心の機微に触れながら、「介護とはこういうことではないか」と探り求める。
僕の妻も、介護業務に携わっているが、妻が時々愚痴る言葉と重なることもあって、興味をもって読んだ次第。
今回も、さすが朝井まかての作品だと、江戸庶民の季節季節の生活描写に感心し、そして納得して読み終わった。