最近TVを観て考えることが多い

 日曜日の夜、2つの番組を観た。
 NHKスペシャル『ヒューマン』
 アフリカで人類史を塗り替えるような発見が相次いでいるという。南アフリカで見つかった古代の装身具。貝殻で作られた首飾りは「仲間」であること示す身分証ではなかったのか。祖先たちは常に危機と隣り合わせ。過酷な環境で生き抜くには互いに協力し合うことが不可欠。仲間同士の確認のために同じ首飾りを付けたり、顔に化粧をしたのではないかという。
 そして、チンパンジーとの行動比較をしながら、二足歩行となった人間は、その影響で骨盤が変形し、他の人の助けを求めなければ出産が困難となって、他と〝共に生きる〟ことを身につけ、相手の気持ちを察してお世話をし合うのだという。
 そのために、顔の表情から気持ちを読み取る能力が、人間には備わったのだという。
 生まれて間もない赤ちゃんも、ジッと顔を見つめて表情を追う。
 そう言えば、昨年8月に生まれた孫も、先日抱っこしたら、まるで僕を知っているようにジッと見つめ笑うのである。
 イラクで、米兵が現地の人たちに囲まれたとき、自分達には敵意がないことを伝えるために、現場の指揮官の大佐はとっさに「笑え」と指示を出して窮地を脱したという。
 先日のモンゴル交流会で「言葉が通じなくて意味が分からなくても、みんなが笑ったら自分も笑ったらいい」というリッタさんの、異国の中での心の通じ合うきっかけの話を思い出した。
 
◇NHKEテレ『日本人は何を考えてきたか』
 今回は、田中正造南方熊楠を取り上げていた。
 原発事故と100年前に起こった足尾銅山鉱毒事件。国策として進められた事業、その発生過程や発生後の対応に、あまりにも類似点が多いのに驚く。今もって回復していない足尾の地。田中正造の言葉がずっしりと重い。
 南方熊楠は、生態系が破壊されてしまうことを憂い、神社の鎮守の森が失われることを危惧して、神社合祀令に反対運動を起こした。それは、宇宙自然界はすべてがつながり保ち合っているという思想からの行動。
 考えさせられることの多い番組だった。