年末年始に、TVや新聞を見ていて気になっていた本があったので、案内所の帰りに書店に寄る。
◇宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』
昔、一度は読んだような記憶があるが、この本をもう一度、じっくりと味わってみたいと思ったキッカケは、
毎週水曜日の朝5時35分からNHK教育テレビで『100分 de 名著』という放送である。
年末の28日朝は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を取り上げ「みんなつながっている」と題して、ロジャー・パルバース(作家・東京工業大学世界文明センター長)が読み解き語っていた。
また、年始の4日朝には「ほんとうの幸い」と題して、その続編をロジャー・パルバースと鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター教授)が、宮沢賢治の思想の投げかけているテーマについて語っていた。
その2回の放送を見て、賢治が言っている「森羅万象のつながり」や、「ほんとうの幸い」について改めて探ってみたいと思った。そして2人とも、この大震災と原発事故という未曾有の災害後の今、賢治の思想が輝きを増すというようなことを言っていた。
一緒に購入したHNKテレビテキストの中でロジャー・パルバースは、
─ 彼の作品の多くは少年や動物、自然などをモチーフにしながらも、単なる子供向けの童話としては書かれていません。「人が他人と協調して生きていくには何は必要か」「どうすれば人間は、一度しかない人生に意味をもたせることができるのか」「自然と共存していくために我々は何をなすべきか」といった人間の生き方に対する根源的なテーマがそこには込められています。─ と述べている。
◇五木寛之の『下山の思想』
元日だったか3日の新聞だったか、この本が書籍広告に載っていた。
「グローバルな下山の時代が始まった。もう、知らないフリはできない。」と書かれ、「日本がいちばんに目指すべきは経済の復活ではなく、思想や学問や文化を成熟させること・・」こんな言葉が目に飛び込んできた。
五木寛之が「下山」という、一般的にはマイナスイメージの言葉をあえて持ち出して、何を語り、何を投げかけているのかを知りたくなった。
今日も、「ちょっと立ち寄ろう」と思って、電車に乗る前に書店に入ったのだが、目的の本以外にも手に取ってつまみ読みを数冊していたら、1時間ほどの時間を費やしてしまった。