◇昨夜、直木賞と芥川賞の作品が発表された。
なんと、直木賞に選ばれたのが、門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』だ。
この本は、昨年9月に刊行されたのだが、それを新聞の書籍広告で見て、「宮沢賢治とその父・家族の物語」だと知って、早速、書店で探し求めて読んだ。
その読後感想は、10月上旬にブログに記したし、さらに、村岡到さん編集長の季刊誌『フラタニティ』8号(11月1日発行)の、僕が連載担当している「文学の眼」でも紹介した。
◇宮沢賢治の詩や童話、その作品に対する評論など、僕も賢治を愛する一人として触れてきたが、この門井慶喜さんの『 銀河鉄道の父 』ほど知的刺激を受けながら読み進めた書籍には出会えなかった。
宮沢賢治という一人の作家を、父の視点とその家族との日常の中で、人間・宮沢賢治が浮き彫りになり、彼の作品が生まれた背景をリアルに描いていて、僕にとっては感動の著書の1冊となった。
そんなことで、この書籍が、今回直木賞に選ばれたことが、ほんとうにうれしい。
◇また、
芥川賞には石井遊佳さんと若竹千佐子さんの作品が選ばれたが、どちらも僕はまだ読んでいない。
芥川賞を受賞した一人、若竹千佐子さんは、岩手県遠野市出身の63歳の主婦だ。
新聞情報によると「書いたりやめたりしてきた小説と向き合い直したのは、55歳の時。夫を亡くし、長男のすすめで小説講座に通い始めた。」らしい。
そして、「テーマをつかむのに、私には63年という時間が必要だった。小説の神様は待っていてくれた。何かを始めるのに、遅いということはない。実感です。」と、朝日新聞「ひと」欄のインタビューで答えている。
作品は読んでないが、このコメントに拍手を贈りたい。