「新嘗祭」と「初物を食べるときの風習」

 秋もだいぶ深まった。
 近くの公園のイチョウもだいぶ色づいたので、「イチョウ並木」で有名な明治神宮外苑はどうだろうかと、先週末に出かけたついでに寄ってみたら、まだちょっと早く青々としていた。でも、今週から「イチョウまつり」が開催されている。一週間たった今は色づき始めているのだろうか。
         

新嘗祭(にいなめさい)
 今朝のニュースで、昨日の天皇陛下が五穀豊穣に感謝する宮中祭祀新嘗祭」のことが流れていた。それで多摩実顕地での朝の話題も新嘗祭で盛りあがった。
 誰かが、「新嘗祭の〝嘗〟って字は賞状の〝賞〟に似てるよね。あれで〝なめる〟って読むんじゃない。」と言い出したら、
 カクコさんが国語辞書を持ってきて〝なめる〟を調べだして「なめるって、新嘗祭の嘗の字と一緒よ、味わうって意味もあるんだって。なめるのは味わうことなのね。」と・・。
「やっぱり豊作を祝う行事よね。子供の頃やっていたよ。」と、ひとしきり盛りあがった。
                           
 多摩実顕地でも、近くに約2反の休耕地(元畑)を無償で貸してくれる話があって、近くに住むヤマギシの村育ちの若者たちと一緒に、畑づくりを始めている。
 昨日は、カワハラさんやイヌカイさんは、その若者と一緒に根を張っている竹を取り除く作業もした。
 そんなことで、カワハラさん曰く「来年は収穫を祝う新嘗祭をやれるぞ」と意気込んだ発言も飛び出す。
         


◇初物を食べるときに
 そう言えば、先日、案内所のランチタイムの時に、カヨコさんが「初物をいただくときには東を向いて笑うのよ」と言って「ええ〜、ホント」「なに〜ソレ」となった。
 実は、僕も母に、もの心付いたときから「東の空に向かって笑うんだよ。そうすると長生きするんだ。」と教わって、季節季節にできる作物を最初に食べるときには、必ずそれを強いられて育った。
       
 僕は長いこと、この風習が不思議でたまらなかった。
 それで、会社に入ってから、ある時、同僚の出身地を聞きながら、そんな風習があるかどうかを10数人に聞いたことがある。何と鹿児島出身の同僚と、もう一人出身地は忘れたが2人の同僚から同じ様に言われて育ったと聞いて、これは福島だけにある地域限定の風習ではないと確信したことがある。
 今になって、僕の解釈だが、「初物を食べるときに、東の空に向かって笑う」のは、きっとお日様(太陽)への感謝なのだと思う。
 その感謝の表情として、子供に分かり易く「いいか顔をしなさい、笑った顔をして感謝しなさい」と言うのが、「東の空を向いて笑う」になって、新嘗祭と同じように、五穀豊穣への感謝を「東を向いて笑う」風習になったのだと解釈している。
 そんなことで、
 僕は、初物に接したとき、今でも母に強いられたその風習を思い出し、周りに気付かれないようにしながら、静かに東の方向を向いて笑う。