昨年11月に放送されたNHKのETV特集『個人的な大江健三郎』が、今月16日の深夜に再放送されたものをNHK+で見つけて観た。
その中で8人の人が、大江健三郎の作品に触れて、それが自分にとってどの様な影響を受け現在に至っているかを語っていた。
登場人物順に紹介すると
・鹿児島在住の詩人・奥山紗英さんは『セブンティーン』
・元乃木坂46の俳優でありタレントの齋藤飛鳥さんは『飼育』
・シンガーソングライターのカガジカオさんは『芽むしり仔撃ち』
・2005年に芥川賞を受賞している仲村文則さんは『個人的な体験』
・「この世界の片隅で」の漫画家・こうの史代さんは『ヒロシマ・ノート』
・戦時下のキーウで生活するウクライナの国民的作家・アンドレイ・クルコフさんも『ヒロシマ・ノート』
・栃木県宇都宮在住の美容師・川上利勝さんは『洪水はわが魂に及ぶ』
・2011年芥川賞を受賞した朝吹真理子さんは『新しい人よ目ざめよ』
それぞれが、大江作品との出会いと、それが如何に自分の人生にとって大きな気付きとなり、現在の自分に影響をもたらしているかを熱く語っていて興味ある内容だった。
放送の最後に大江の言葉『文学は根本的に人間への励ましをあたえるものだ』をテロップで紹介していたが、確かにそうだなあ~と・・・。
実は僕にとっての大江健三郎作品との出会いは、十代後半での『飼育』や『芽むしり仔撃ち』だった。
その頃、僕は川崎市の文学同好会「ぼけの会」で、月三回(10日・20日・30日)の例会に参加して読後感想を、会場としていた喫茶店の閉店時間までねばり語り合っていたことを思い出した。
この放送を観て、当時、同好会が発行していた同人誌を押し入れの奥の段ボールに収めているのを思い出した。
かなり古くなってシミが浮いている同人誌をめくって、当時の仲間たちは「いま、どうしているだろう」と名簿を見るが、50数年前のことで、かすかに記憶に残っている人は2~3人、あとは定かでない。
急に、『芽むしり仔撃ち』をもう一度読んでみたくなって、いま、読み始めている。