何気なく読んだ『世界でいちばん透きとおった物語』

 昨年の10月から11月にかけては、ネイティヴ・アメリカンの口承史・ポーラ・アンダーウッド著『一万年の旅路』を読んで、その後、先史時代の人類の歩みをもっと知りたくなって、年末から年始にかけては、ユヴァル・ノア・ハラリ著の『サピエンス全史』(上)(下)を読んだ。
 そして正月早々、田内学さんの『お金のむこうに人がいる』の続編『きみのお金は誰のため』が刊行されたのを知って、それを読む。


 そんなことで、しばらく小説を読んでなくて「何かいい本ないかなあ~」と、書店の平積みコーナーに並んでいる本を見ていて、目に止まったのがこのタイトルの新潮文庫杉井光著『世界でいちばん透きとおった物語』

    

 「こんな素敵なタイトルが付いた物語って、どんな内容なのかなあ~」
 最初は純愛物なのかなっと手に取ってみたら「電子書籍化絶対不可能!?」「〝紙の本でしか〟体験できない感動がある!」と書かれている。
 さらには「ネタバレ厳禁!」とある。
 「もしかして、ミステリー小説?」
 まあ~いいや、最近のTVドラマも興味を惹くものがないし、「気楽に読んでみよう!」と・・・・。

 「ネタバレ厳禁」なので、内容には触れないが、作家だった父の遺稿を探す物語。
 ミステリ小説はあまり読んだことがないが、こんなミステリ仕掛けの小説は・・・?と、ビックリする、僕にとっては驚愕の顛末だった。
 こんな本を作るなんて、その発想に驚くし、これを書き上げた作家や刊行しようとした編集者に、ただただ敬服だ。
 読み終わって、これが「透きとおった物語」ということかと、しばし、ページをめくっては感心した。
 十二分に楽しませてくれた本だった。