まだまだ残暑は厳しく、さらに不安定な、時折、雨が降ったりの天気だが、朝晩はだいぶ涼しくなった感じがする。でも、陽射しは強い。
今日は9月も12日。「暑い、暑い」と言っても、暦は9月の中旬、やっと秋の訪れだ。
◇会の機関誌「けんさん」の校正
先週初めから編集をしている「けんさん」9月号。編集を終えて、九州のヒデコさんが担当してくれている紙面作りも、昨日夕方ほぼ終わって、今日はそれの校正作業。
明日から1泊2日で三重県のヤマギシの村に出張なのだが、なんとか校正まで終わって安心して出掛けられそう。
今週末に印刷して、来週半ばには会員宅へ発送したいと思っている。
◇高田郁著『契り橋 あきない世傳金と銀・特別巻上』を読む
高田郁さんの江戸庶民物語『あきない世傳 金と銀 』シリーズは、江戸時代に「買うての幸い、売っての幸せ」をモットーに、呉服商を営む女商人の物語なのだが、昨年の夏に最終巻の13巻が終わっていた。
僕は高田郁さんの江戸の風情描写が好きで、惚れ惚れしながら毎巻楽しみに読んでいた。
先日、その特別巻が出たことを新聞広告で知って、早速読む。
この特別巻は、『あきない世傳 金と銀 』シリーズの女主人公以外に登場する4人を主役に据えた4つの短編集だった。
さすが、高田郁さん、読者が気になっていた人物を据えての物語を書いてフォローするとは脱帽だ。
それにしても高田郁さん、季節の描写も冴えている。
例えば、師走の寒い朝の描写はこんな文章だ。
「夜通し降った雪が、江戸の街を純白な真綿で覆った。積雪を喜ぶのは子どもばかり。師走を八日後に控え、それでなくとも気忙しいのに、と大人達は眉間に皺を刻む。」
鳥の鳴き声も描写によく出て来る。
「ほー、ほけっ ほほほー、ほけっ 歌の下手な鶯が、姿を見せずに鳴いている。上手く囀れるようになるまで、道程は長そうだ。」
そして、夏の終わりの描写はこうだ。
「油蝉(アブラゼミ)から蜩(ヒグラシ)、そして法師蝉(ホウシゼミ)へと、蝉の奏者の移ろいに連れて、残暑が和らぐ。」
僕は、江戸時代の庶民の暮らしぶり、季節ごとの行事の様子、そして物語の展開の楽しみと同時に、このような高田郁さんの描写を楽しみながら読んでいる。