辻村深月著『 凍りのくじら 』を読む

辻村深月さんの本を初めて読んだ。

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 読み始めたときには、失踪してしまった大好きな父親ゆずりの「ドラえもんをこよなく愛する」頭がよくて大人じみていて、冷めた友人関係で過ごす女子高生の物語なのかと、主人公の設定にちょっと期待ハズレの気持ちも湧いてきたのだが、なんとなんと、中盤以降は、その主人公を取り巻く人々との人間模様というか、主人公の心象風景というか、心理描写というか、その辻村さんの巧みさに徐々に引き込まれて最後まで読んでしまった。
 もう一つ面白いのは、物語の舞台設定が全編を通して、誰でも知っていて、誰もがすきな国民的漫画の藤子・F・不二雄の「ドラえもん」の魅力を語りながら、物語が展開し進んでいくところだ。
 各章のタイトルも、第1章の「どこでもドア」から始まって、ドラえもんの不思議な数々の道具となっていて、物語とそれが同期している。
 読み終わった今、辻村深月さんの創作世界に興味を持ちつつ、藤子・F・不二雄の「ドラえもん」の世界観の深さも教えてもらったような感覚が残っている。


◇帰宅時にBOOK・OFFに寄った。
 高田馬場の案内所からの帰宅時に、今日はちょっと時間があったのでBOOK・OFFに寄った。
 もう一冊、辻村ワールドに付き合ってみようと、辻村深月さんが吉川英治文学新人賞になった『 ツナグ 』でもあるかと思って寄ったのだが、最初に目に止まったのが、直木賞を受賞した『 鍵のない夢を見る 』だった。
 よし、これを読んでみようと、ポイントカードのチャージを利用して購入。

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