『 生き心地の良い町 』 からのヒント

 もう3ヵ月ほど前に、サガワさんから「読んでみる?」と渡され借りた本。
 岡檀著 『 生き心地の良い町 −この自殺率の低さには理由がある 』
 僕がブログに、朝日新聞の「折々のことば」に出ていた『 病(やまい)は、市(いち)に出せ 』(徳島県・旧海部(かいふ)町の言い習わし)について書いた後に、それを読んで貸してくれた。
 最初の1章だけめくって、そのまま机の上に置いていて、気になっていた本だ。
 著者が、日本で最も自殺率の低い徳島県海部町を4年にわたって調査し、自殺率の低さの理由を考察した本である。
        
 まだ、ザッと一読しただけで、詳細は書けないが、実に示唆に富んだ内容である。
 僕たちが、日々、「仲良い楽しい村づくり」について、研鑽したり、考えていることに通じることもあって、ちょっと驚いている。
 本書の帯にも書かれているのだが、著者が海部町のフィールドワークで気付いたポイント「町で見つけた五つの自殺予防因子」として挙げているのは、
  ・いろいろな人がいてもよい、いろいろな人がいたほうがよい
  ・人物本位主義をつらぬく
  ・どうせ自分なんて、と考えない
  ・「病」は市に出せ
  ・ゆるやかにつながる
 この5点について、なぜそれがコミュニティや、生き方や処世術に大切なのかを、現地調査に基づいて分かり易く説明している。

 もう一度、じっくり読んでみようかと思う。
 たとえば、こんなことが多岐にわたって考察されているのだから。
 ・「多様性重視がもたらすもの」としてのコミュニティでの効用や、
 ・「関心と監視の違い」をわきまえたコミュニティ内での生き方や、
 ・「絆」「つながり」と呼んでいるものも、その本質の捉え方や人々のその意識で大きく違うことや、
 ・「幸せ」とか「不幸」と感じている相対的判断基軸の不安定さや、
 ・「利己主義は人間の業」として「損得勘定」からくる行動パターンを馬鹿にしない。自分の幸せ探求が究極的にはみんなの幸せに繋がるのではないか、
 などなど、立ち止まって考えてみたいことが、多々、考察し書かれている。