『 君たちはどう生きるか 』 についてのおしゃべり

 北海道は爆弾低気圧の影響で猛吹雪とのことだが、東京は今日も、春を感じさせる比較的暖かな陽気。
 今日も昨日に引き続き、会の新聞「けんさん」3月号の編集に一日費やす。
  

◇漫画 『 君たちはどう生きるか 』を読み終わる
       
 岩波文庫を読んで、その後、漫画化された本を読んで、よかったと思う。
 主人公のコペル君や、亡き父親の代わりに見守る教養ある「おじさん」や、コペル君を取り巻く友達の心の動きは、漫画では要約されている感じで、ちょっと残念。
 これから読む人には、文庫本から読むのを勧めよう。
 でも、漫画本にも、著者の吉野源三郎が伝えたい、人間としての生き方・「社会認識に立脚して、いかに生きるか」を、「おじさんのノート」という形で、文庫本同様に次の様なタイトルで、ちゃんと文章で載っている。
  「ものの見方について」
  「真実の経験について」
  「人間の結びつきについて」
  「人間であるからには」
  「偉大な人間とはどんな人か」
  「人間の悩みと、過ちと、偉大さとについて」
       
 漫画本の最後は、こんなコペル君の気付きで終わっている。
  ─ こんなことを考えた。─
    世の中を 回している中心なんて
    もしかしたら ないのかもしれない
    太陽みたいに たったひとつの 大きな存在が
    世の中を 回しているのでなくて
    誰かのためにっていう 小さな意思が
    ひとつひとつ つながって
    僕たちの 生きる世界は 動いている 


文藝春秋3月特別号
 ここにも、吉野源三郎関連の記事が掲載されている。
 『 日本の教育を建て直せ 』という特集に、『 父・吉野源三郎の教え 』と題した、池上彰吉野源三郎の長男・吉野源太郎の対談だ。
       
 その中で吉野源太郎は、『今回のヒットで「少年が葛藤を乗り越えて成長する、前向きで明るいストーリーだ」などと紹介されることもありますが、とんでもない。投獄され、自殺まで試みた父が「また検挙されるかもしれない」「いずれ自分の命はないかもしれない」という恐怖を抱きつつ、命がけで生み出した物語だったと思います。』と語り、池上彰とともに、文部科学省が進めている教育行政─産学連携の即戦力を有する人材育成のために「すぐに役立つ知識」の詰め込み─を批判し、子供には『「答えのない問い」と格闘させよ』と力説している。