先日読んだ小説、荻原浩さんの『 二千七百の夏と冬 』は、縄文から弥生へ移行する2700年前の物語なので、縄文人と弥生人の身体的違いや価値観の違いなどが、いろいろと記述されていて、それがベースになって物語が展開している。
そんな中に「縄文人は酒に強く、弥生人は弱い」という特徴も出てくるので、もう少し、その違いを知りたくなって、ネット検索をしてみたら湘南東部総合病院の市田隆文院長などが書かれた文章がヒットして、興味を持って読んだので、それらを抜粋して紹介する。
◇縄文人と弥生人のDNA
日本人には縄文人と弥生人の2つのDNAが存在。
現代においては、75%以上の人が縄文と弥生の混血。純粋な弥生人は20%、純粋な縄文人も5%ほど生き残っているらしい。
◇酒に強い・弱いの違い
アルコールをアセトアルデヒドに分解するADHは、人間なら全員等しく持っている。 しかし、アセトアルデヒドを酢酸にして無毒化するALDHは、人によって持っていたり、働き(活性)が悪かったりする。
この違いが、酒を飲める、飲めない、酒に弱い、という「体質の差」。
◇縄文人と弥生人のALDH
日本人の祖先は、ヨーロッパからヒマラヤ山脈を超え、沖縄側から北上してきた縄文系と、中国大陸を経て南下してきた弥生系に分けられる。
遺伝子的に見ると、縄文系の多くはN型遺伝子でALDHを持っていて酒が飲める。
弥生系は何らかの突然変異によってD型遺伝子となり、ALDHを持っている人が少ないので酒が飲めない(または弱い)。
縄文系と弥生系の違いは、顔つきでも見当がつくが、酒の飲み方のほうがより鮮明にその差がわかる。
◇ALDHからみた「縄文人と弥生人の全国分布図」
北海道から沖縄まで5000名以上の日本人を対象に調べたところ、北海道、東北、九州、沖縄地方に酒豪遺伝子であるN型遺伝子の割合が多いことが分った。
特に秋田県が一番多く、次に鹿児島県と岩手県、逆に最も少ないのが三重県、次いで愛知県という結果になった。
これが、調査結果の都道府県別にみたN型遺伝子の割合
◇ついでに身体的違いも
【顔の違い】
─縄文人─
・顔形−四角/長方形 ・彫りの深さ−立体的 ・頬骨−小さい ・目−大きく丸い
・眉−太い/濃い/直線 ・髭−濃い/多い ・瞼−二重 ・鼻骨−広い/高い
・唇−厚い ・口元−引き締る
─弥生人─
・顔形−丸/楕円 ・彫りの深さ−平坦 ・頬骨−大きい ・目−小さく細い
・眉−細い/薄い/半円 ・髭−薄い/少ない ・瞼−一重 ・鼻骨−狭い/低い
・唇−薄い ・口元−出っぱり気味
【身長の違い】
縄文人は背が低く、弥生人は背が高い。
小説『 二千七百の夏と冬 』の中でも、これらの特徴を踏まえて書かれ、物語は展開しているのだ。
そして、僕はどちらかと言うと、完璧に縄文人のDNAを引き継いでいると思った。