お薦めの映画『沈黙 ─サイレンス─』

 観たいと思っていた公開中の映画、今週末までだと知って、夜、帰宅時に寄り道して観る。


◇『沈黙 ─サイレンス─』
 この映画は、遠藤周作の代表作『沈黙』が原作だ。
 僕が小説『沈黙』を読んだのは、いつだっただろうか。
 内容的にも定かな記憶が蘇らないくらい、かなり昔のことである。
 それが、ハリウッド映画のマーティン・スコセッシ監督によって映画化されたと、公開前の新聞記事を読んだときから、ぜひ観たいと思っていた。
        
 内容については、ここに記する必要がないと思うが、
 キリシタンの弾圧が行われていた江戸初期。
 日本に渡ってきたポルトガル人宣教師の目を通し、信仰とは何か、人間にとって大切なものなのか、苦難の人間に対してなぜ神は沈黙するのか、その沈黙の中で神の存在をどう感じたか、救いを求めなければ生きていけない人間の弱さ・・・。
 そのような、重い重いテーマを描いている。
 160分という長編映画だが、飽くことなく(眠ることなく)最後までスクリーンに引きつけられた映画だった。
 さすが、マーティン・スコセッシ監督が、原作に出会ってから28年の時を経ての映画化だけあって、僕にとっては「記憶に残る傑作」になったことは間違いないだろう。
 日本人俳優の窪塚洋介をはじめ、浅野忠信イッセー尾形なども、その人物になりきった素晴らしい演技だったし、特に、背信と神への救いを繰り返し求める弱き信者を演じた窪塚洋介の演技は凄かった。
 公開早々にこの映画を観たノリエさんから、観賞お勧めのメールをラインでもらったが、確かに、人に薦めたくなる大作映画である。