映画『花戦さ』を観る

 現在、公開されているこの映画を新聞広告で知った。
 生け花でもって天下人・秀吉と対峙する池坊専好の物語。そして、この物語を演じる豪華ベテランキャスト。
 ぜひ観たいと思って公開を楽しみにしていた。
 編集の仕事も一段落したので、昨夜、帰宅時に新百合ヶ丘駅で途中下車して観た。
         
 時代は16世紀の京都。
 生け花発祥の地といわれる京都の頂宝寺六角堂の僧侶・池坊専好が、鴨川沿いに行き倒れた死人に、花瓶代わりに石を積み上げて花を手向け、祈りを捧げる姿から物語は始まる。
 ここが、これが、生け花の発祥地であり、発祥行為なのかと思いながら観る。
 物語の内容は、千利休池坊専好の心の交流であり、その千利休切腹を命じ自害させた秀吉に対して、池坊専好が「生け花」をもって、死を賭しての抗議なのだが、とにかく演じる俳優陣が凄い。
 主役の池坊専好野村萬斎で、豊臣秀吉市川猿之助千利休佐藤浩市織田信長中井貴一前田利家佐々木蔵之介、町人の世話役に高橋克実などなど。
 野村萬斎の表情豊かなアップの演技も見ものだが、これらベテラン俳優のそれぞれの役の好演技が物語に深みを醸し出していた。
 そして、この映画に映し出される「生け花」は、全て「池坊華道家達が用意した秀作とあって、それらの観賞も十分に楽しませてくれた。
 僕は昔々、若かりし頃、安達式挿花に少々触れたことがあるが、華道の源流はやっぱり池坊なのだと思わされる作品だった。
 それらは、ネットの「映画『花戦さ』オフィシャルサイト」で観賞も出来るが、ここに3点だけ無断失敬してアップ紹介する。

岐阜城の大座敷にて、織田信長に専好が献上した大砂物「昇り龍」(作成者:西田永 教授)
       


○利家に頼まれ、利休の翻意を促しにきた専好がいけた花(作成者:西田永 教授)
        


○意を決した専好が秀吉を諌めんと披露する大砂物(作成者:秋野仁 教授)