府中市美術館で、いま『生誕130年記念 藤田嗣治展 −東と西を結ぶ絵画−』を開催中だ。
昨年12月に小栗康平監督の映画『FOUJITA』を観た。
この映画は、友人の照明技師・ツカヤマさんが制作に関わったことから観たのだが、それがきっかけで藤田嗣治に興味が湧き、東京国立近代美術館での「特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示」企画にも行ったし、近藤史人さんが書いた『藤田嗣治「異邦人」の生涯』という文庫本も読んだし、先日、ツカヤマさんから頂いた小栗康平監督の新書『じっとしている唄』も読んだ。
そんな経緯もあって、府中市美術館でのこの展覧会も、ぜひ行ってみたいと開催予告されたときから思っていた。
たまたま、木曜日の夕方、府中方面に出掛けることがあったので、帰りに美術館に寄った。
画家・藤田嗣治(ふじた・つぐはる・1886−1968年)が、24歳当時の東京美術学校での作品から、26歳でパリに渡り、試行錯誤の末に生み出した独自の画風で一躍パリの寵児となる、乳白色の下地に日本画用の絵筆で墨の線を引く繊細な彼独特の作風の裸婦画や猫の絵の数々。
そして、有名な戦争画「アッツ島玉砕」や「サイパン島同胞臣節を全うす」などの絵画の展示、その戦争協力責任から、晩年、追われるように日本を去り、再びフランスに移住しキリスト教に改宗後、礼拝堂の建設と壁画制作に打ち込んだ作品など、いままで未公開の作品や藤田の大作を含む約110点が展示されていた。
実に見応えのある作品が多くあり、何度も作品の前で、暫し、藤田の心境に思いを馳せる鑑賞となった。
僕が藤田嗣治の絵を前にしたとき、彼が描く人物の「目」というか「目力」が、僕は何とも言えぬ不思議さと、その力強さと、そして魅力を感じる。
日本画壇では嫌われた藤田嗣治ではあるが、僕は藤田嗣治の絵が好きだ。