関根淳さんの『モンゴル野球青春記』

 先週の土曜日、市ヶ谷のJICAで「モンゴルデー」という催しがあった。
 その時に、会場でいただいたのが、関根淳さんの『モンゴル野球青春記』という本だ。
 早速、帰りの電車の中から読み始めたら、なかなか面白いし、興味をそそる内容だった。
           
 
◇内容は、関根さんが、社会主義崩壊直後の1995年に「モンゴルで子どもたちと野球をする」という目的で、モンゴル政府奨学金留学生となり、野球というスポーツをほとんど知らない中で、モンゴルの常識と日本の常識の違いや、文化の違いに悪戦苦闘しながら4年間、子どもたちに野球を教えた奮闘記なのだ。

◇関根さんは2000年に単行本として上梓され、その年に「ミズノスポーツライター最優秀賞」を受賞。その後、映画化され2013年6月に公開。9月に一部改訂をして再版されたのがこの本だ。


◇ノンフィクションだけあって、モンゴル人の気質というか国民性が、実に分かり易く書かれていて、日頃、僕も付き合っているモンゴル人の顔を浮かべながら納得してしまった。
 関根さんの言葉を借りれば、モンゴル人は「純粋で、したたかで、野放図。誰もが幸せを求めて目を光らせている」し、「計画性はなく、行動力は抜群」と書いている。
 僕も、ほんとうにそうだと感じている。
 まあ、良く言えば、だからモンゴル人は面白いとも言える。

◇モンゴルで野球を教える関根さんは、常識と文化の違いからくる幾多の壁にぶつかり、あるときは打ちのめされて、コーチとしての境遇がどんどん追い込まれていくのだが、それでも悩みながら、子どもたちとの暖かい心の交流で、それを乗り越えて「野球の楽しさ」を伝えていく。
 その姿には脱帽さえ感じる内容だ。


◇会話の中に、頻繁に使われるモンゴル語が、カタカナで書かれているのだが、そのたびに「そうそう、こんな時は、こんな言葉を耳にするなあ〜」と、そんな事も楽しみながら読めた。

◇関根さんは、モンゴル滞在中に恋人だったモンゴル女性を「ミズノスポーツライター最優秀賞」の副賞100万円で、日本に呼び、結婚して、現在、東京で幸せに暮らしていると「あとがき」に書かれている。
 一度、お会いしてお話を聞きたいものだと思った。