数日前に知人から「新宿の東郷青児美術館で感動的な絵画展をやっているよ」とメールをもらった。
彼が、そこまでいう絵って、どんな絵画なんだろうと思って、今日の帰宅途中に寄ってみた。
場所は、新宿駅から徒歩で5分ほどの損保ジャパン日本興亜本社ビル42 階の東郷青児記念美術館だ。
42階に上がると、夕方の新宿のビル群が一望できる。
この「クインテットⅡ−五つ星の作家たち−」展。
将来有望な5人の作家たちを紹介するシリーズ企画展第2弾。
富岡直子、平体文枝、岩尾恵都子、水村綾子、山本晶の近作・新作約70点を展示していた。
説明書きに「5人の作家たちは、日常生活の中で接する景観の中で、光、風、音、天候、雰囲気、そして作家の記憶や心の変化などを、豊かな感性で形象化しています。」とある。
(この展示会場は撮影OK)
◇会場にあった作者の一人・富岡直子さんの言葉
何を描いてきたのか?─
「世界」であり「希望」です。絵画に「光」=希望のようなものが現れることを求めて描きました。
生と死、いつどうなるかわからぬ命、世界は突然変わってしまうのだ・・という実感から製作してきました。
そんな現実を生きていくときに、私を支えているものは、友人のあたたかな言葉だったり、幼いころの記憶だったり、私の中に溜められた多くのかけがいのないあたたかなもの=光=希望です。
◇もう一人の作者・水村綾子さんの言葉
淡々と過ぎて行く暮らしの中に、自分の制作に必要な動機や要素があります。(中略)
最近テーマにしている音もそうです。
日々音楽が自分の傍らにある事が多いのですが、それらの持つ力、言葉の意味やにおい、デリケートな旋律の響きや感触・・といった、それらの感覚が起点となり、形や色に変換され、一枚の絵となり現れます。自分の理想とする唯一無二の絵画に近づける為に逡巡を繰り返しながら。
実に、こころが癒されるというか、心が魅かれる、そんな絵画群だった。
そして、作品や作者の言葉に触れて「画家は、詩人でもある」と、つくづく思った。
暫し、会場にある椅子に座って、その静かに流れる時を忘れてしまう心境だった。