特に意図したわけではないのに、妻夫木聡が主演する映画2本を続けて観た。
一つは、現在、公開上映中の『バンクーバーの朝日』。
もう一つは、テレビ番組表で偶然に見つけた『涙そうそう』。
◇『バンクーバーの朝日』
先日、知人とカナダ移民の話題になって、恥ずかしながら僕はカナダ移民史について何も知らなかった。
そして、その時、この映画が実話をもとに作られた映画だと教えられ、お正月の間にぜひ観ておきたいと思ったのだ。
この映画は、1900年代初め、多くの日本人が新天地を夢見てカナダに移民し、現地での過酷な肉体労働に耐えながら、貧困と差別の中で生きていく物語で、そんな中、移民二世が中心の野球チーム「朝日」が、体格で上回る白人チームを相手に、バントと盗塁を多用するプレーと、フェアプレーの精神でひたむきに戦い、日系移民たちに勇気や希望をもたらす内容だ。
最後は、第二次世界大戦が始まり、選手達は敵国外国人ということで捕虜収容所に送られ、野球チーム「朝日」は消滅するのだが、2003年にその活躍が認められ、カナダ野球殿堂入りを果たしたという実話をもとにした映画だ。
僕の知らなかったカナダ移民の差別や苦難の実態について、それを知ることが出来たし、そのような他国の環境の中でも、希望を持って生きつづけた日本人たちがいたこと、その彼らに感動する。
◇『涙そうそう』
こちらの映画は、2006年に公開されたものだ。
子供の時に母を失い、〝血の繋がっていない兄妹〟として沖縄で生まれ育った2人の、純粋な兄妹愛の物語だ。
「妹のカオルを守ってあげて・・」という母の最期の言葉を、ひたすらに守り、自分のお店を出すという夢を持ちながら、兄としての妹への思いやりと、それを実践するために、どこまでも妹の幸せを思って真摯に生きていく姿が胸を突く。
この映画のタイトルの「涙そうそう」は、沖縄の方言で「涙がポロポロと溢れて止まらない様子」という意味だそうだが、確かに、これでもか、というほどに涙腺が緩んでしまった。
妻夫木聡の好演もあるが、長澤まさみの演技も光っていたし、沖縄の風景や、沖縄人の方言というか独特のイントネーションが実に心地いい。
こんな映画があったことに、僕は正直、驚いた。
森山良子の作詞、そのままの内容の映画なのである。
古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた
いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ
晴れ渡る日も雨の日も 浮かぶあの笑顔
想い出遠くあせても
おもかげ探してよみがえる日は 涙そうそう