もう紫陽花の季節だ

 案内所からの帰宅の時に、乗換駅の新宿駅構内イベント広場で「植木市」をやっていた。
      
 特に買うつもりはなかったが、きれいな花々に誘われて寄ってみると、紫陽花が並んでいた。
 「もう、紫陽花の季節なんだなぁ〜」と思って、その紫陽花に見とれてしまう。
      
      
      
 

 僕は、紫陽花が大好きだ。
 実は、この花を見ると思い出す短歌がある。


    はなやかに見えてあじさい手にとればひとつひとつの花の寂しさ  志のぶ


 この短歌のことは、以前にもブログに書いたと思うが「山下しのぶ」という、僕が大変お世話になったおばさんが詠ったものだ。
 僕が、T電機会社に就職して独身社員寮に入った時の管理人(寮母)が、この「しのぶおばさん」だった。
 しのぶおばさんは、満州から引き上げた後、女手ひとつ2人の男の子を育て、息子達が成人した後に、寮の住み込み管理人として生計を立てていた。
 明るく、ちょっと気品の感じる、面倒見のいい母親のような優しいおばさんだった。
 そして、そのしのぶおばさんは歌人でもあった。
 その後に、寮が変わっても親しくお付き合いが続いていたので、結婚の報告をしたら、まるで母親のように喜んでくれて、自作の短歌を額に入れて、お祝いとしてプレゼントしてくれた。
 それが、この紫陽花を詠った短歌である。
 結婚以来、僕たちの居室には、ずっとこの短歌の額縁を飾ってある。
            
 時々、部屋に訪れてこの短歌をみて「寂しい歌ね」という人もいるが、僕は大好きな、思い出のある短歌だ。