日本橋の三井記念美術館での「北斎展」

 知人から「いま、東京で開催されている展覧会で北斎展〟と〝インカ帝国展〟は、ぜひ観たらいい」と薦められていた。
 そんなことで、日本橋に出掛けたついでに三井記念美術館で開催されている〝北斎展〟に寄ってみた。
             

 この〝北斎展〟は、アジア美術の収蔵で世界的に知られるホノルル美術館から里帰りした江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎の作品170点なのだという。
 それにしてもホノルル美術館に約10,000点もの浮世絵版画が収蔵されているというのも知らなかった。その中に葛飾北斎歌川広重の多くの作品があるのだという。
 2010年が北斎生誕250年にあたり、その記念事業の一環として、京都でも開催され、今は東京での開催なのだ。
          
 それにしても「すごい」の一言である。
 雑誌や絵葉書などでもよく観る葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」をはじめ、「諸国名橋奇覧」、「諸国瀧廻り」、「百人一首姥か絵説」など、中には僕は初めて知る作品から、こんなモチーフが浮世絵になるのかと思う北斎の晩年の作「地方測量之図」までが展示されていた。
 一作、一作を時間も忘れて、波の音や、水の流れや、風の薫りをも感じさせる作風に、驚きと感動をしながら丁寧に観てしまった。
          
          
 北斎がこれら代表する作品を出版したのが73歳前後からだというから、それにも驚いてしまう。
 晩年の「地方測量之図」にいたっては亡くなる前年の89歳の作である。
 これらの作品を目の当たりにすると、単なる江戸時代後期の浮世絵師というだけでなく、ゴッホなどの印象派の画家にも大きな影響を及ぼしたと言われるだけはあると納得する。
          
 それにしても、天才は「多作」であると誰かが言ったが、絵師としての北斎も、こんなに多くの作品を生み出したのかと、その作品の多さにも驚く。今でいうイラスト集のような「北斎漫画」や、北斎は沖縄は訪れたことがなく文献をもとに想像で描いた「琉球八景」まであるのだ。
 確かに、知人が薦めてくれたように、一見に値する美術展である。
          

 ここに載せた絵は、展示場出口で記念に購入した絵葉書である。