中村成信さんの写真展に出かける

◇日曜日・今日の朝の丹沢山
    
 我が家・多摩実顕地の生活館屋上から望む昨日の雪で白く彩られた丹沢山系。
 

◇写真展
 妻は町田で、認知症になった人や家族が安心して暮らせる街をつくろうと活動している「認知症フレンドシップクラブ・町田」にかかわっている。
 その妻に「ちょっと付き合って」と誘われて、茅ヶ崎駅前の長谷川書店で開催している『中村成信・出版記念写真展』に出かけた。
 中村成信さんは茅ヶ崎市の元職員で若年認知症(ピック病)の方なのだ。
 会場での中村さんの話やお兄さんの説明、会場にあった新聞記事によると
 中村さんは2006年に自宅近くのスーパーでチョコレートなどを万引きしたと逮捕され、市から懲戒免職処分を受けた。
 事件直前に同じような柄のネクタイや靴をしこたま買い込んだりしていたことに、仕事のストレスくらいに見過ごしていたことに家族が気付き、中村さんを連れて専門医を訪れた。
 そこで中村さんは、前頭葉と両側の側頭葉の血流低下で萎縮という若年性認知症の一種「ピック病」と診断され、万引きの原因が病気で本人に自覚のないままの行為であったことが明らかになった。
 中村さんは、在職時代は市の文化推進課長で「サザンビーチちがさき」の命名者であり、サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブの実現に奔走した行政マンだったという。
 会場にもサイン入りの桑田佳祐と並んだ写真が展示されていた。
 現在は、通所介護施設に通ったり、病気進行を遅らせるために医師の勧めで趣味のカメラを手に方々に出かけては写真撮影をしたり、認知症の講演活動などをしているという。
 その中村さんが、兄の勧めで「いつ誰がなるか分からない病気の実態を知ってもらいたい、働き盛りに発病するピック病を理解してほしい」と『ぼくが前を向いて歩く理由(わけ)』という本を出版した。
 その出版を記念して、趣味で撮影した写真展が開催されていた。
      

 中村さんのお話を聞いたが、認知症だとは全然わからない。このピック病というのはスポット的に記憶が途切れるときがあるらしく、用心のために一人では出かけられないという。写真撮影も奥さんや娘さん、ボランティアの人に同行してもらうのだという。
      
 写真展に訪れた人やマスコミらしき人にも、中村さん(写真中央)は何変わりなく普通に対応していて、認知症を患っているとは思えなかった。

 妻のかかわっている「認知症フレンドシップクラブ・町田」では、2月に中村さんを呼んで講演会を開催するのだという。
 妻は、その挨拶も兼ねた写真展鑑賞だったのだが、僕にとっては、認知症というものを改めて認識する写真展だった。
 展示されていた写真も素晴らしく、プロらしき風貌の男性が「いい写真を撮るなあ」と隣で呟く声が聞き取れた。