今回の芥川賞と直木賞

 芥川賞を受賞した一人・田中慎弥氏の「・・都知事閣下と都民各位のために、もらっといてやる」発言が話題になっている。
       
 僕も17日の夜だったと思うが、受賞者の記者会見を見てちょっと驚いた。どの作品も僕は読んでないので「さぁ、どれが面白そうかな・・、どんな人が書いたものが選ばれたんだろう」と見ていたら、マイナス的に妙に興奮しながらこの発言。翌日の新聞で石原知事が選考委員を辞退という経過をしって、田中氏の発言が結びついた。
 けっこうネット上でも話題になっている。
 テレビウオッチ「ワイドショー通信簿」の中で、田中氏のお母さんは「ちょっと気難しい。自分が言ったことを絶対に曲げない」子だと言っている。4歳で父親を亡くし、高校では新聞部にいて、常に文庫本を持ち歩いて時間があればが読んでいた。卒業後も就職はせず、アルバイトもしたことがないく、小説は20歳から書き始め、お母さんは婦人服販売で息子を養ってきたそうだ。
 お母さんはさらに-「どこへ行っても、田舎へ帰っても、夜なんか鉛筆握っている。正月盆はないです。1日1回は何があっても鉛筆握るっていうか、日頃コツコツやってきてるので、とうとう受賞したかという気持ちでしたね」と言っている。
 こんな事を知ってしまうと、ついついどんな小説を書く田中氏なのだろうと読みたくもなる。
 しかし、僕は今回、書店の店先で選んだのは、
 田中氏よりも直木賞を受賞した葉室麟氏の『蜩ノ記だった。
 理由は、
・年代が同じである葉室氏「この年の誕生日を迎えると〝自分の余命〟を意識する」。
・3年後の切腹を命じられている武士を主人公に、残り時間を生きる人間の矜持と、清廉な生き方を描いた。
 こんな新聞記事を、書店に寄る前に読んでいたからで、還暦を過ぎて?回目の誕生日を今日迎えた僕には、こちらのテーマの方が心に響いたのである。
 そんなことで昨夜は、直木賞受賞お祝いを著者にするつもりで、ブックオフを待たずに新刊を買った。