書籍についてのおしゃべり

 先週までは、初夏のような暖かい気候だったのに、今週に入って朝晩はコートが必要なくらいに肌寒く、一日の気温差が大きい。
 そんなことで、僕もちょっと体調を崩し、昨日からひさしぶりに風邪気味だ。
 今日は早めに寝ようと思う。


◇昨日「本屋大賞」が発表
 全国の書店員が最も売りたい本を選ぶ今年の「本屋大賞」には、直木賞作家・辻村深月さんの『かがみの孤城』が選ばれというニュースを朝刊で読んだ。
        
        
 上位10位までに選ばれた中で、僕が読んでいたのは、4位の『たゆたえども沈まず』(原田マハ著)と、7位の『星の子』(今村夏子著)だけだった。
 僕は、ゴッホの生涯を描いた原田マハさんの『たゆたえども沈まず』を予想していたので、ちょっと残念。


フラタニティの連載原稿を書く
 村岡到さんの編集長で発行している季刊誌『フラタニティ』の次回発行が5月1日だ。
 この季刊誌に、僕は1ページの「文学の眼」と題した書籍紹介というか読後感想の連載枠をいただいている。
 村岡さんから「そろそろ原稿を送って・・・」というメールを、先週届いていたが、会の新聞「けんさん」の編集に追われて書いていなかった。
 昨日で編集の方も一段落したので、昨夜書いて、今朝、村岡さんに送信した。
 今回は、先日読んだ葉室麟さんの『天翔ける』を紹介。
        
 なぜ、葉室麟さんの作品を選んだのかと言うと、葉室麟さんは昨年末に亡くなった。享年66歳。
 50歳から創作活動を始めて『銀漢の賦』で松本清張賞、『蜩ノ記』で直木賞を受賞しているが、何とも短い作家人生であるし、歴史小説家として、これからも秀作を発表するだろうと期待していたので、僕の追悼の意味を込めて選んだ。
 もう一点、今年は明治元年から起算して満150年。
 政府では〝「明治150年」関連施策各府省連絡会議〟を設け、政府一体となって「明治150年」関連施策を推進しているし、地方公共団体や民間も各地でその関連イベントや事業を展開している。
 特に鹿児島県では「西郷どん」の大河ドラマ放映もあり、「維新のふるさと鹿児島市」「近代国家成立の原動力となった薩摩」と、数々のイベントが催されている。
 また、マスコミや出版界においても、西郷隆盛を始めとして維新を推進したとされる人物関連書籍も多く出されたり、一方では薩長史観に基づく近現代史の流れの定説を見直す特集も目に付く。
 そんな時勢にあやかって、幕末から維新にかけての国難の時代に、高潔な志と卓越した国家づくり構想を描き、大名として幕府運営に関わり、そして維新後に敗者となっても新政府で要職を歴任した人物で、幕末の四賢侯の一人といわれた松平春嶽を描いた書籍を取り上げた。
 あえて言わせてもらえば、薩長史観については僕も疑念を抱いている。